日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・記録の戦略
民族表象における記録/記憶/忘却
―― ヤオ族の神話=歴史観と『評皇券牒』をめぐって ――
北條 勝貴
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2016 年 65 巻 5 号 p. 13-27

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抄録

アジア史の局面には、平地における水田経営から王権、領域国家へと展開した権力、および同一の文化を共有する集団が、狩猟や焼畑を生業とする山地の集団・文化を疎外する言説が確認される。ヤオ族の持つ漢文文書『評皇券牒』は、かかる山地/平地のカテゴリー生成における神話=歴史、民族的アイデンティティーと、その忘却の意味を考えさせる。それは、定住社会の幻想と稲作至上主義に束縛され続ける、「日本文学」「日本歴史」の歪さをも暴露することになる。

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