2017 年 66 巻 3 号 p. 2-11
本論は教科書教材としてキャリアのある山田詠美の「ひよこの眼」のいくつかの先行研究を取り上げて検討し、それらの研究における作品の読みを検討することを目的とした。と同時に作品のタイトルでもある「ひよこの眼」とは何かという問いに筆者なりの答えを出し、そのことによって本作品の教材としての価値の一端を明らかにすることを企図した。シンポジウムの「第三項と〈世界像の転換〉―ポスト・ポストモダンの文学教育Ⅱ―」というテーマと「ひよこの眼」を交差させると、どのような問題が現れてくるだろうか。