日本語教育
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実践報告
JSL児童生徒のための社会科授業構成
――二文化統合理解学習としての単元「私たちのまわりのお店のくふう」をもとに――
南浦 涼介
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2008 年 139 巻 p. 72-81

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抄録

 JSL児童生徒の社会科学習には,「言語的課題」と「文化的課題」の2つがあると考えられる。これらの課題の克服のために,第二言語習得理論の応用や(Pappamihiel et, al. 2005),児童生徒の文化的背景と学習内容を関連づける試み(Weisman & Hansen 2007)などが提案されてきた。しかし,JSL社会科が上の2つの課題に答えるためには,母文化理解を包含した内容理解も重要であると筆者は考える。

 本小論では,この課題に答える授業構成の理論を構築することを目的としている。まず,JSL児童生徒が母文化と第二文化双方の社会的意味を共に理解するための「二文化統合理解学習」を提案し,その授業構成論を,授業過程,題材,支援の方法の視点から試案として示した。この試案に沿って,授業を計画,実施した。授業の分析の結果,事例の範囲内ではあるが,本試案の有効性が示された。

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© 2008 公益社団法人 日本語教育学会
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