日本語教育
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調査報告
実行頻度からみた「外国人が日本で行う行動」の再分類
――「生活のための日本語」全国調査から――
宇佐美 洋
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2010 年 144 巻 p. 145-156

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抄録

 本論文では,「外国人が日本で行う行動」について,その実行頻度による再分類を試みた。この目的のため,日本在住の外国人に対し「社会の中で,どの言語行動をどのくらいの頻度で行っているか」を問う質問紙調査を行い,欠損値のない908名分の回答に対し因子分析を実施,6因子を得た。このうち第3~第6因子は特定の状況・場所でのみ行われる行動と,第1,第2因子は個人的状況を問わず必要となる可能性のある行動と結びついていた。

 第1,第2因子の負荷が大きかった行動の性格を詳細に検討すると,第1因子には「生きていくために必要となる私的な行動」が,第2因子には「人と深く関わるために必要となる公的な行動」が多く結びついていた。また,日本語レベルと第1因子の因子得点との間には高い相関があったのに対し,第2因子の因子得点との相関は決して高くなく,第2因子の行動頻度はむしろ職業・身分から強い影響を受けていることが示唆された。

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© 2010 公益社団法人 日本語教育学会
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