日本語教育
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調査報告
共生日本語教育実習のコーディネーターの役割認識
――PAC分析による実習前後の変容の検討――
鈴木(清水) 寿子
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2010 年 144 巻 p. 85-96

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抄録

 共生日本語教育実習の場を,地域において日本人住民・外国人住民および日本語教師が当事者として学ぶ場と捉え,コーディネーターAの役割認識を分析した。PAC分析の結果,実習前の【実習生・支援者の実習意義の理解を促す】【実習生・支援者と共に学び協働を促す】という役割認識が実践を経て【実習生・支援者の省察的実践の体験的理解を支援する】【“管理者”として実習生・支援者・参加者をつなげる】と捉え返され,さらに【実習生・支援者・参加者と共に共生を追究する】という役割認識が新たに見出されたことがわかった。“管理者”というメタファーを得て,学び手の体験的な理解を促進するために人をつなげるというAの役割理解は進み,共生という実習テーマと省察的実践者というAのビジョンが接合した。Aの実践を通じた役割認識の深まりは,地域日本語教育におけるコーディネーターの育成を考える上でも有効であると考察した。

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© 2010 公益社団法人 日本語教育学会
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