日本語教育
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調査報告
介護福祉士候補者が国家試験を受験する上で必要な漢字知識の検証
中川 健司
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2010 年 147 巻 p. 67-81

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抄録

 EPAに基づく介護福祉士候補者が国家試験を受ける上で漢字が大きな障壁となると予想されており,国家試験を見据えた漢字学習支援が急務となっている。本研究では,国家試験受験の上で必要な漢字知識を検証するために,過去8回の国家試験中に出現する漢字の頻度と傾向を調査し,介護分野の漢字教材で扱われている漢字と比較対照した。その結果,8回の国家試験中の出現頻度が29回以上の漢字497字で,全13科目においても,その中の介護関連3科目においても,出現漢字(延べ)の約90%がカバーされる一方で,教材で扱われている漢字でカバーできるのは50%未満にとどまることが明らかになった。この調査結果は,介護分野の教材で扱われている漢字では,国家試験に出現する漢字をカバーしきれていないことを意味し,国家試験に対応するためには,漢字教材で扱われている漢字以外にも試験に頻出する漢字を相当数学ぶ必要があることを示唆している。

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© 2010 公益社団法人 日本語教育学会
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