日本語教育
Online ISSN : 2424-2039
Print ISSN : 0389-4037
ISSN-L : 0389-4037
実践報告
日本語教育副専攻科目における日本語学習アドバイザー育成
―受講生の認識に見る可能性と課題―
トンプソン 美恵子木下 直子尹 智鉉寅丸 真澄毛利 貴美
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 174 巻 p. 16-30

詳細
抄録

 本研究は,日本語教育副専攻科目における日本語学習アドバイザー育成を目的とした授業の可能性と課題を明らかにするため,受講生たちが何を学び,彼らの認識がどのように変容していったのかをインタビュー調査し,M-GTAの手法で分析した。分析の結果,受講生は自律学習,傾聴,ラポール形成などの日本語学習アドバイジングの理論を意義付けていたが,留学生を助けることと自律学習を促すことの間でジレンマを感じる,留学生の相談に実際に応じる場面で理論の応用に困難を覚え,一定の正しい解決方法を求めるなど,理論に見る日本語学習支援の理想と留学生と向き合う実践の場での現実に葛藤していた。一方,授業で自らの自律学習を内省したり,ピアで議論したりすることを通じて,受講生は自身の自律学習を意識化し,長期的な視点で日本語学習支援を捉えるようになり,さらには授業で学んだことを日常生活と有機的に結び付け,応用への意欲を醸成していた。

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本語教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top