日本語教育
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実践報告
大学の初級日本語クラスにおけるタスクベースの言語指導
―マイクロ評価に基づく考察を中心に―
小口 悠紀子
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2019 年 174 巻 p. 56-70

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抄録

 本稿は,初級日本語学習者を対象に,構造シラバスの中で教師がTBLTの理念を取り入れることの可能性とタスクの効果を検討した実践報告である。本稿では全9回 (27時間) に及ぶTBLT実践を行い,(1) 学習者はTBLTアプローチをどう受け止めていたか,(2) 学習者はタスクを楽しみ,有効性を実感していたか,(3) 学習者のタスクに対する反応は,教師が想定するものであったか,という点について検証した。その結果,学習者はTBLTによる日本語授業に概ね肯定的な反応を示したものの,学習者の持つビリーフスやコースの評価方法がTBLTに沿わない場合,不安や戸惑いを感じることが分かった。また,マイクロ評価の結果,タスクが持つ真正性の高さが学習者の動機付けを高め,教師の狙い通り能動的な授業参加や内容中心のコミュニケーションを促す一方で,言語形式への焦点化は,教師に頼らず学習者間で適宜行われていることが明らかになった。

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© 2019 公益社団法人 日本語教育学会
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