本稿は,関西圏の大学や日本語学校の教員からなる日本語教師教育者ネットワークの活動内容を事例として,日本語教育人材を育成する教師教育者について論考するものである。これまで研究対象として取り上げられることの少なかった教師教育と教師教育者に着目し,孤立しがちな「教師の教師」がヨコに繋がることで見えてきた新しい形の教師教育者の成長について検討する。具体的には,(1)教師教育者の役割やアイデンティティについて先行研究において確認し,(2)日本語教師教育者ネットワークのメンバーが考えるネットワークの意義,および,(3)ネットワークのメンバーが持つ教育観を考察する。これらの考察を通して,教師教育者の視点から日本語教育人材の育成を捉えていく。最後に,(4)日本語教師教育者ネットワークの活動を通して明らかになった,教師教育者の成長に関する課題や可能性,およびネットワークの今後について議論する。