日本語教育
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研究論文
日中バイリンガルの音声版日本語語彙サイズテストの開発と検証
彭 悦梁 震笹尾 洋介
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2023 年 185 巻 p. 93-108

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抄録

 本研究の目的は,音声受容語彙知識を測定する日中バイリンガル日本語語彙サイズテストを開発し,妥当性の予備的検証を行うとともに,音声語彙知識の特徴を明らかにすることである。このテストを118 名の幅広い習熟度の中国人日本語学習者に実施した。ラッシュ分析の結果,内的一貫性,項目難度に基づく代表性,モデル適合度の観点からテスト得点の妥当性が支持された。また,語の使用頻度と項目難度との間に弱い相関が認められた。さらに,中国語母語話者の文字語彙サイズを調べた先行研究との比較を通して,(a)音声語彙知識と文字語彙知識の関連性は,和語,漢語,外来語の順に強くなること,(b)漢語については文字提示よりも音声提示の方が難しい一方で,和語・外来語は音声提示の方が易しくなること,(c)音声提示の場合は,和語・漢語・外来語の平均項目難度に有意差が見られなかったことが示された。これらは音声語彙に焦点を当てた学習の必要性を示唆している。

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© 2023 公益社団法人 日本語教育学会
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