日本語の研究
Online ISSN : 2189-5732
Print ISSN : 1349-5119
琉球語 *i-(自動詞する)の文法化 : 文字資料の無い言語の研究例(<特集>日本語における文法化・機能語化)
伊豆山 敦子
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 1 巻 3 号 p. 155-170

詳細
抄録

文字資料がなくても、方言比較研究により、文法化の過程を知ることができる。文字資料がある日本語上代との比較により、日本語の文法化事例を加えることができる。琉球語の語彙項目^*i-(自動詞する)の文法化過程をたどる。八重山・石垣市宮良(みやら)方言の動詞語形変化の型は、日本語と異なる。5段活用対応型が、更に、1段活用対応型の活用語尾-i-(r-)と同じ形態素を持ち、同じ活用型を持つ。八重山・与那国方言の「する」を意味する自動詞i-(r-)と比較することにより、嘗て、語彙項目だった^*i-(r-)の文法化であることが推定される。その際、日本語連用形相当の形が最も基本的な形であること、その機能的意味が、話し手認識の関与しない、事象生起であることが注目される。

著者関連情報
© 2005 Author
前の記事 次の記事
feedback
Top