日本語の研究
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宇和島市九島方言アクセントについて : 調査報告内容のズレの理由と、変遷についての再考
清水 誠治
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2006 年 2 巻 2 号 p. 46-60

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抄録

先行研究の調査報告内容が一致していない愛媛県宇和島市の九島方言アクセントについて、新たに行なった調査結果に基づき報告し考察する。まず、この方言では、弁別の決め手となる下降が遅れて実現する場合があり、また、句頭の音調にも様々なものが出現可能で、そうしたゆれが個人差を生じさせ、結局調査結果のズレをもたらしたらしいことを報告する。続いて、音韻体系としては宇和島方言アクセントと同じく「中輪式」に解釈される点と、新たに見つかった、頭高型以外の語が無核型文節に続く時低接する現象の存在から、この方言アクセントは、従来言われていたような現在の宇和島方言の体系から変化して成立したものではなく、宇和島方言と同じ体系から宇和島方言とは式の合流に関して異なる経路の変化を遂げながらも一度宇和島方言と同じ音韻体系に至った後、新たな変化が起こっているものだとする説を述べる。

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© 2006 Author
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