日本語の研究
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言語資料としての『おもろさうし』(<特集>琉球語を見る/琉球語から見る)
間宮 厚司
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2011 年 7 巻 4 号 p. 149-135

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抄録

筆者は、これまでに『おもろさうし』の言語を大和古語と比較することで、沖縄固有の語(オモロ・グスク・テダ等)の語源や特有の文法体系(係り結び・形容詞等)について考察してきた。本稿では、ヂャウ(門)の原義、ウリズン(陰暦三月頃の季節)の語源、人称名詞(我)アとワについて、助詞ハの表記と発音について考察した。その結果、ヂャウ(門)の原義を門に施されたヂャウ(錠)と推定し、ウリズンの語源は、「(大地が雨で)潤って(空気が)澄むこと」と、『おもろさうし』の実例から推定した。そして、『おもろさうし』の人称名詞(我)ア系とワ系を調査した結果、アガとワガの下に来る語には、明確な違いが認められた。また、助詞ハの中で、「…を」に当たる「は」表記の発音はワでなく、バであったと考えるのが穏当であるという結論に達した。

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