本研究は持続的観光に則した観光地域開発の展開上の考え方とその担い手のあり方を探ることを目的としている。考察の手順は, まず持続的観光の必然性と観光効果増殖維持の必要性を, 環境と観光行動の関係の変遷から整理し, 新しい段階の持続的観光のあり方を探る方向性を定めることから始め, 次に, 新しい段階の持続的観光を支える要件を観光主体と観光客体の両側面から検討し, 開発の方向性について観光主体側の要請と観光客体側のあり方の両方の側面から検討した。以上の検討結果を踏まえて, 観光主体が観光地域で一時的に生活するための異日常空間の構成要素を, 比喩的に生活必需要件の「衣」・「食」・「住」の3要素に分解し, それぞれの要素の開発上の視点について, 北海道と沖縄のケースを例示的に整理の上, 一般論として新しい持続的観光の担い手の育成について言及している。