この研究は, 観光行動と観光地の景観の関係を明確にすることによって, 観光地再生に寄与することを目的にしている。本論では, 各観光地を想起する代表的観光箇所の景観と, 景観の集積としての観光地における観光行動に着目し, その関係を明確にした。観光地を, 景観を地と図の概念で分析し, 絵葉書の要因面積分析と, 輪郭線分析によって明確にした。景観の象徴的部分図確保は, 主として景観の輪郭線形成に寄与する開放性と, 周辺環境の同質相似性によって形成される点を指摘した。観光行動による, 景観と行動の関係性を, 観光地のビデオ記録によって明らかにした。景観における行為の頻度について, 象徴性の形態に対応して比較分析した。象徴的部分図と補助的部分図の総合的観光地と, 中心を持ち象徴的部分図が多くを占める観光地では, 前者の多様な観光行 為に対し, 後者では, 限定的観光行為である点が明確になった。こうした点を路まえ, 観光地の適切な組み合わせと, それを整備する必要性がある。また観光対策として, 役割分担とリンク性を配 慮した, 行政単位にとらわれない観光地整備が求められよう。
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