日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
カルチュラル・スタディズ, カルチュラル・ツーリズム-観光学専攻学生の海外研修旅行実践を事例として-
大畑 裕嗣
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ジャーナル オープンアクセス

1997 年 31 巻 p. 1-8

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抄録
本稿は, 近年のカルチュラル・スタディズにおける観光研究の動向を論じ, 流通経済大学社会学部国際観光学科における観光教育の方法を自省的に検討することを通じて, 観光研究と観光教育のあいだの望ましい関係を究明するものである。近年, 欧米のカルチュラル・スタディズは, 観光文化に関する注目すべき研究成果をあげつつある。いっぽう, 海外研修旅行に参加した流通経済大学国際観光学科学生の現地踏査にもとづく最近の研究には, 観光現象を主題とした「自生的カルチュラル・スタディズ」の萌芽がみられる。この海外研修プログラムは, 一気に高度な知的洗練をねらうものではなく, 試行錯誤を通じて, 観光についての学生の理解を深めるために設計された「泥臭い」体験なのである。学生と教授団のあいだにしばしば生じる人間臭いぶつかりあいは, 学習体験の強烈さの証明である。この「泥臭さ」こそが, カルチュラル・ツーリズムを自ら実践しうる未来の主体のための教育を地道に改善していくうえでの鍵となる のである。
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© 1997 日本観光学会
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