2000 年 36 巻 p. 48-57
21世紀に向けて諸外国との友好信頼関係の強化, 並びに国内地域経済の活性化等の見地から, 訪日外国人誘致が叫ばれ, 1996年に運輸省より「ウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)」が提言された。これにより訪日外国人旅行者数を, 2005年には倍増させるべく行動計画が立てられ, 行政的にも各種施策が実施に移されている。 倍増という点では, 過去1987年に215万人であった訪日外国人旅客(訪日外客/インバウンド)は, 10年後の1997年には422万人と, この間に略々倍増している。本稿はこの10年間で倍増した訪日旅行需要を, 特にアジアNIEs (新興工業経済地域)に焦点をあて分析する事によって, 「日本観光システム」の将来的課題を考えて見た。 日本は, 韓国台湾の外国旅行自由化に起因する, 特需によるインバウンド急成長の時代を経て, 現在は女性を中心とする若者, 家族に最適な目的地として開発されつつあると判断され, この新需要に適合出来るシステムを構築することが急務となっている。そしてこれが日本の若者のニーズに適合することに繋がり, 現在若者離れが進み停滞している日本の国内旅行の, 需要拡大と活性化をもたらすと結論付けられる。