2008 年 49 巻 p. 24-34
英国において「2006年自然環境及び地方コミュニティ法」が議会で可決されたことを受けて、2006年10月1日、「ナチュラル・イングランド」と呼ばれる独立の公共団体が創設された。既存の諸機関の活動を引き継いだこともあり、ナチュラル・イングランドの活動内容は自然現境の保全を中心に多岐にわたるが、自然環境を活かしたレジャーの促進を通して、地方を活性化させるとともに、人々の心身の健康増進を目指している点など、我が国の観光および環境政策の観点からも興味深い。本稿では、まず、ナチュラル・イングランド設立の背景を検討した上で、その組織と機能を根拠となる法律を中心に考察した。続いて、主務大臣である環境・食品・地方問題担当大臣の諸権限について述べた。さらに、ナチュラル・イングランドの幅広い活動内容のなかから、観光の発展とも関連する田園地方へのアクセスの拡充およびアウトドア・レクリエーションの振興を中心に検討した。