日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
ユーザー生成コンテンツを活用した日本人と外国人の観光行動分析 -世界文化遺産の村、白川郷を事例に-
鈴木 晃志郎松井 陽史
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 64 巻 p. 1-12

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抄録

本研究は、旅行口コミサイトに投稿された白川郷に関する日本人および外国人のeWOM(電子口コミ)をテキストマイニングにより比較解析し、観光行動分析におけるテキストマイニングの有用性を検討した。潜在的ディリクレ配分法によってクラスタリングした日本語と英語のeWOMを比較したところ、食事、散策や見学、写真撮影など、集落内の観光行動に関する複数のトピックで双方の内容に一定の共通性がみられた一方、世界遺産に関する双方のトピックには、大きな違いがみられた。日本語版に外国人観光客の急増に対するネガティブな反応が現れたのに対し、英語版の特徴語からは、対象地がユニークな民俗文化を愉しむ場所として消費されている様子が読み取れた。また、双方が利用可能な白川郷までの移動手段の多寡を反映して、交通手段に関するトピックでも、双方に違いが現れた。出発地で層化した共起ネットワーク分析でも、既存のインタビュー調査の結果を裏づける知見が得られ、定性的な調査で得られた知見を補強する手段としての有効性も示された。

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