日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
歴史的市街地である「ならまち」の再生 ─カフェ、雑貨店、飲食店の出店と町家の利用─
小村 弘
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2023 年 64 巻 p. 42-49

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抄録

歴史的市街地である「ならまち」は衰退した生活空間であったが、町家カフェや雑貨店が観光雑誌に紹介される観光地となっている。本研究は、カフェ、雑貨店や飲食店の店舗数と建物または土地の用途の変遷を1970年代まで遡って調査し、併せて町家の店舗としての利用状況や関係者からの聞き取り結果を分析することにより、「ならまち」の再生の特徴を明らかにすることを目的とする。カフェや雑貨店の増加傾向は、元興寺旧境内を中心とした「ならまち」の中心地区から繁華街の周辺エリアへ拡大した。奈良市外からの来訪者は町家店舗への訪問意向は高かった。一方、出店者による町家の利用は2015年まで受動的であったが、2016年以降能動的利用へ移行した。本稿において、「ならまち」の観光地化による再生は、町家の能動的利用への変容をともなった、カフェ、雑貨店、飲食店の出店・拡大による個人店舗出店型まちづくりであることを明らかにした。

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