日本の神学
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辻荘一著『キリスト教音楽の歴史』(日本基督教団出版局、一九七九年、二九四頁)
芸術
野村 良雄
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1980 年 1980 巻 19 号 p. 166-171

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抄録
本書は現代日本における音楽学と教会音楽史の最長老の著者が五年間にわたって「礼拝と音楽」誌に連載されたものにもとづき、十九世紀については新たに稿を起こして、単行本としてまとめられたものである。著者は巻頭の「序」においてまず「近来日本の音楽家が西洋音楽の本場で活躍するようになったが、これらの才能のある人を支える一般音楽人の西洋音楽理解は未だ浅薄であるように見受けられるが、その理解の不十分はキリスト教音楽の理解が欠乏しているからであると思う。云云」と書かれている。「そこでこの小著は礼拝のなかでの音楽という観念を中心におき、さらにそれぞれの教派の特定の礼拝の形式を産み出した。その教派の教義、教条、その教派の成立の沿革にまで遡って記述をこころみた」と。この三頁にわたる序の最後には「本格的に歴史を書こうとするならば、史料に、音楽史ならば古楽譜、文献、レコード、実演等によって、自分がほんとうに納得してからにすべきであるが、著者にはこれに関する努力も足りないし、また資料も不足である」と書かれており、ブルーメ編のプロテスタント教会音楽史とフェレラー編のカトリック教会音楽史およびブルーメを代表者とする音楽大辞典が基本文献としてあげられている [フェレラーの音楽史は一九七二年とあるが、第二巻は七六年であり、ブルーメの大辞典は一八巻とあるが、一六巻で一応補遺も完成] 。本文は全六章に分けられており、その各章は「古代」「中世」「宗教改革と対抗改革の時代」「分裂と覚醒の時代」「啓蒙主義の時代」「十九世紀」である。
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