2023 年 23 巻 2 号 p. 9-16
女性大腿切断者は浮腫の影響を受けやすく、断端周径変化によるソケットの不具合が生じやすい。しかし、女性大腿切断者の断端周径変化ついて日内変動や1ヶ月の日間変動を評価・分析したものは少ない。そこで本研究では、月経周期別での3Dスキャナーによる断端周径計測と性差におけるアンケート調査を行い、月経周期別の断端周径量を明らかにすることで、女性大腿切断者のソケット適合の一助とすることを目的とした。
月経周期別での3Dスキャナーによる断端周径計測の対象は、健常女性8名と女性大腿切断5名の計13名とした。結果、健常者8名の遠位60mmにおいて、増殖期と比較して月経期の方が有意に大きい値となった。健常者、切断者共に全計測箇所で増殖期と比較して月経期の方が大きな値を認めた。また、切断者においても健常者と同様に遠位60mmで一番大きな変化量を認めた。
性差におけるアンケート調査の対象は女性切断者9名と男性切断者19名の計28名とした。結果、日内変動では女性の方が有意に断端周径変化を自覚し、日間変動でも女性の方が有意に断端周径変化を自覚する傾向にあることがわかった。
以上のことから、女性大腿切断者には月経周期変化に配慮した義足ソケットの製作が必要であり、月経期での採型は容積の大きいソケットが製作される懸念があり、この時期での採型は避けることが望ましいことがわかった。