日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
総合論文
ヘミアセタールエステルの熱解離平衡反応を基盤とした新規架橋システムの開発
石戸谷 昌洋中根 喜則柴藤 岸夫大江 収遠藤 剛
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 2000 巻 12 号 p. 831-840

詳細
抄録
塗料,接着剤,封止材等の熱硬化性樹脂に利用可能な新規架橋システムを開発した。
本技術の骨子は,化学的に活性であり,かつ有機溶媒や樹脂に難溶性のために,熱硬化性樹脂への利用が限定されていた多価カルボン酸のカルボキシル基をアルキルビニルエーテル類との付加反応により,ヘミアセタールエステル(1-アルコキシエチルエステル)に変換する潜在化手法にある。この潜在化多価カルボン酸は,常温では安定で,さまざまな有機溶媒や樹脂類に優れた溶解性を示すが,加熱硬化時に熱解離反応によりカルボキシル基を再生し,エポキシドと強固な架橋構造を形成する。このヘミアセタールエステルとエポキシドの硬化反応を利用した新規架橋システムは,一液型で優れた耐酸性雨性を有し,かつ大気中に放出される有害な有機化合物量を削減できる自動車用塗料として工業化されている。
著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 2000 The Chemical Society of Japan
次の記事
feedback
Top