日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
一般論文
還元ぺロブスカイト型複酸化物触媒によるメタンと二酸化炭素との反応
呉 雲影元井 昌司杉山 和夫松田 常雄吉田 泰彦
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2000 年 2000 巻 9 号 p. 613-620

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抄録

複酸化物LnCoO3(Ln=La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Er,Yb)を水素で還元分解したもの(Co/Ln2O3と略記)を触媒としてCO2によるCH4の改質反応を行い,反応活性と触媒表面特性との関係を検討した。873Kの反応ではSmとEuを境に原子番号の高い希土類元素を含む触媒の反応活性はそれの低い元素の触媒より活性が著しく高かった。特徴的な反応活性を示した還元分解Co/Ln2O3(Ln=La,Sm,Eu)触媒をとりあげて触媒表面特性について検討した結果,EuCoO3はLaCoO3,SmCoO3より還元されやすく,還元後のCo/Eu2O3触媒表面に金属コバルトとユウロピウムが確認でき,高活性の原因に帰せられる。同様な還元条件下,SmCoO3触媒はCoが十分還元されないため,高活性にならない。また,Co/Eu2O3には比較的低温と高温域で働く二種類の活性点が存在し,SmCoO3触媒には1073Kという高温域で働く活性点しか存在しないため,873Kでは活性を示さない。還元分解後のLaCoO3触媒はCO2に対する親和性が強く,容易に炭酸塩を生成し,高温域でのみ分解されることより873Kでの反応活性は見られず,反応を阻害している。

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© 2000 The Chemical Society of Japan
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