日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
一般論文
SiO2膜形成用プレカーサー溶液の調製と金クラスター分散SiO2膜形成への利用
望月 千尋佐藤 光史中村 勲松原 知宏吉田 岳史大槻 哲也
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2002 年 2002 巻 2 号 p. 135-140

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抄録
エタノール中で,テトラエトキシシランとグルコースを反応させ,糖のケイ素に対する錯形成を利用したアルコキシドの加水分解の制御によって,安定なSiO2膜形成用プレカーサー溶液を調整した.ジエチルアミンを含む最終溶液は,スピンコート法によって石英ガラス基板に対して均一に塗布され,600 °C以上の焼成により,膜厚約500 nmの透明で亀裂のないSiO2膜を与えた.600 °Cおよび1000 °Cで焼成した膜のXPSの測定から,焼成膜中に窒素は残存しないことを確認した.プレカーサー(前駆物質)溶液から粉を得て,TG-DTA測定により熱的性質も検討した.また,得られたプレカーサー溶液にグラフトポリマーで安定化した金クラスター含有アルコール溶液を,ケイ素に対する金の物質量の比(Au/Si)を0.01–0.1の範囲で混合し,金クラスター分散SiO2膜の形成についてさらに検討した.得られたクラスター分散SiO2膜の金クラスターに基づく表面プラズモン共鳴バンドは,金含有率の増大に比例したブルーシフトを示した.金クラスターの結晶子サイズを,膜のXRDから検討し,金含有率に依存しないことを明らかとした.
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© 2002 The Chemical Society of Japan
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