日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
技術論文
酸素貯蔵材担持Pt–Rh触媒のNO還元触媒性能と貴金属担持状態
山田 啓司三好 誠治岡本 謙治住田 弘祐高見 明秀
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 2002 巻 3 号 p. 435-440

詳細
抄録
酸素貯蔵材(OSC)に貴金属を担持した触媒において,白金(Pt)とロジウム(Rh)の担持状態や触媒特性に及ぼす影響を,酸化セリウム(CeO2),セリウム-ジルコニウム(Ce–Zr)複酸化物,セリウム-プラセオジム(Ce–Pr)複酸化物および酸化プラセオジム(Pr6O11)を用いて調べた.TPR結果から,Prを含んだOSCを担体にしたPt–Rh/Ce–Pr複酸化物とPt–Rh/Pr6O11の触媒は優れた酸素放出特性や水素(H2)の貯蔵特性を示した.これらの触媒は,他の二つの触媒と比べて,H2や一酸化炭素(CO)を還元剤にした一酸化窒素(NO)浄化反応に高い活性を発現することがわかった.
 XPS分析結果から,Pt–Rh/Ce–Pr複酸化物とPt–Rh/Pr6O11のPt表面はCeO2,Ce–Zr複酸化物に担持されたものと異なり,電子密度が希薄な状態である.EXAFS分析結果から,PtとRhは合金化しており,Pt–Rh/Ce–Pr複酸化物とPt–Rh/Pr6O11のRhはCeO2,Ce–Zr複酸化物に担持されたものに比べて金属に近い還元状態であることがわかった.
 以上のことから,貴金属の担持状態や優れた触媒特性は,担体であるOSCとの強い相互作用に起因すると推察した.
著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 2002 The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top