工業化学雑誌
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重水素の電解分離係数が最大となる電解条件
久保田 正雄中野 仁山本 外男緒沢 鑑蔵江藤 政次郎
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1957 年 60 巻 11 号 p. 1423-1425

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抄録
無隔膜減容電解で重水の電解濃縮を行う場合,電極材質として陰極および陽極にそれぞれ軟鋼板とニッケル板を用い,電解質として炭酸カリを使うときに炭酸カリ濃度,電解温度,電流密度,極間距離,浴電圧,陽極の腐食度等の各要因の関係について追求して次の結果をえた。
(1)浴電圧曲線よりみると電解液温10℃付近では4.0V以上を示すが,温度の上昇につれて電圧は次第に降下し,40℃付近では約3.2V程度であった。
(2)減容電解が進み,炭酸カリ濃度が増すにつれて漸次浴電圧は低下する。大体7%以上になると低下が著しいようである。
(3)極間距離の小さいほど,また電流密度の小さいほど浴電圧は低下するようであるが,工業的には極間距離は7.5mmが最小限であろう。
(4)炭酸カリ液での陽極ニッケル板は,炭酸カリ濃度が低いと腐食が大きいので,初濃度は5%以上を必要とする。
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