工業化学雑誌
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塩基性触媒下のメチロール化反応におけるフェノール核のオルト位とパラ位の反応性
瀬戸 正二堀内 光
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1957 年 60 巻 5 号 p. 653-655

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抄録

塩基性触媒のもとで石炭酸とホルマリンとを反応させるとフェノールアルコール( モノー, ジーおよびトリーメチロールフェノール) が生成するが, フェノール核のオルト位とパラ位のいずれがメチロール化されやすいかは触媒の種類によってことなっている。このことは定性的には従来から知られていたが, 定量的な関係は知られていなかった。
著者らは十分大過剰の石炭酸にホルムアルデヒドを反応させることにより, モノメチロールフェノールのみを生成させ,これを定量しオルト位とパラ位の反応性を各種の触媒について比較した。すなわち,石炭酸100mol,ホルムアルデヒド1mol, 触媒1当量の比の混合物をそれぞれ下記8 種の触媒のもとで反応させ,o- およびp- メチロールフェノールの生成モル比をペーパークロマトグラフにより定量し次表のような結果をえた。
これによって, 弱アルカリ触媒を用いる方がオルト位の反応性が高くなり, 逆に強アルカリ触媒ではパラ位の反応性が高くなることを知った。このことはメチロール化反応の機構を考える上に興味ある示唆を与えるものと思う。なお本実験は実験計画法にもとづいて実施し, 結果については推計学的解析を行った。

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