工業化学雑誌
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イソブタンの液相酸化
巽 俊一下村 国夫
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1959 年 62 巻 11 号 p. 1674-1676

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抄録

低級脂肪族飽和炭化水素の液相自働酸化について反応機構および反応生成物を明らかにするために,一例としてイソブタンの液相酸化をしらべた。ふりまぜ式オートクレーブにイソブタンを抗酸化性溶剤に5~20%溶解したものを入れ,反応温度130~165℃,酸素圧40~60kg/cm2でその圧の減少を追跡した。均一系触媒として酢酸コバルト,溶剤として酪酸あるいは酪酸メチルを用いた。酸素吸収量は反応時間に対して直線的で, 反応速度は150℃以下, 酸素圧の高い領域(9.5kg/cm2以上)において酸素圧に0次,炭化水素濃度に1次として得られた。初期反応速度より総括活性化エネルギーを求めると14.6kcal/molであった。最終液体生成物としてt-ブチルアルコール,メチルアルコール,アセトン,水,酢酸および少量のギ酸, 同ガス状生成物として炭酸ガス, 一酸化炭素および微量のイソブチレンが得られた。本反応はラジカル連鎖機構において, 分岐反応の寄与が小さく主としてRO2Hを生じ, このものの2 次的分解の結果として最終生成物を与えるものといえる。

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