抄録
数種の混合イオンをイオン交換クロマトグラフィーで分割溶離するには,それぞれ濃度の異なった溶離液を使って行われている。
われわれは溶離渡を連続的に変化させ単一な操作によって,それぞれのイオンを分離溶出させる方法を研究した。溶離液の変化は物理的に希釈する方法と電気化学的に電解させる方法の2通りを使った。希釈法は濃度の濃い溶離液を水,緩衝剤等を満した円筒を通過させることによって得る方法で,その液濃度の変化は希釈剤の容量に関係する。電解法は硫酸ナトリウム溶液等の電解で酸,アルカリを得ることができ,たとえば5V,0.1A/cm2で電解して2種類の液を同時につくった。これらの溶離液を使って,イオン交換樹脂,アルギン酸交換体を充填したカラムを使ってCu-Fe3+,Al3+-Fe3+,Mg-Ca,Cu-Znの分離を効果的に行うことができた。