工業化学雑誌
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水熱処理したアルミナ水和物の熱転移
舟木 好右衛門清水 義勝
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1959 年 62 巻 6 号 p. 782-787

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抄録

アルミナ水和物を水熱処理して,不純分のより少ない,良好な結晶のハイドラルギライト,バイアライトおよびべーマイトを得てこれらの加熱変態経路を明らかにすることは重要なことと考え,X線,分光分析,炎光分析,電子顕微鏡などによりこれを調べ,つぎの諸結果を得た。
(1)ハイドラルギライトは加熱によりγ→δ→θ→αとχ→κ→αの二つの系列を生成するが,ハイドラルギライトを120~200℃で水熱処理したものからは水熱処理温度をあげるにしたがい,次第にχ→κ→α系に減少し,160℃以上ではγ→δ→θ→α系のみとなる。
(2)バイアライトは水熱処理したものからもγ →θ→α系は生成するが,δ 型はみとめられない。
(3)アルミノゲルを水熱処理して生成したべーマイトはγ→δ→θ→αのほかに,γ→δ→αも存在すると考えられる。
(4)ハイドラルギライトおよびバイアライトは水熱処理により含有ナトリウムが順次少なくなる。
(5)ハイドラルギライト,バイアライトおよびベーマイトはいずれも1300℃2時間加熱でX線ではαアルミナを示すが,電子顕微鏡観察ではそれぞれの出発形態を維持する。1400℃2時間加熱によりはじめて通常のアルミナの形態を示す。

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