抄録
赤松グルコマンナン,アイボリーナットマンナン,コンニャクマンナンの精製による組成の変化,精製物のX線図および赤外吸収スペクトルを測定し,比較を行った。
赤松グルコマンナンを17.5%カセイソーダとフェーリング液,イオン交換樹脂,銅アンモニア液,水,酸加水分解などによって精製することを試み,アルカリ抽出試料の場合のマンノース基/グルコース基(M/G)は2.3~2.9で大きな変化はないが,キシロース基が種々の程度に除去され,特に酸加水分解,イオン交換樹脂処理によりよく除かれることを認めた。銅アンモニア液により単離した試料ではM/Gが3.2~3.45に達したが,従来針葉樹から単離されているグルコマンナンのM/Gよりなお低い。酸加水分解試料はよい結晶性を示し,アイボリーナットマンナンとほとんど同じX線図を与えるが, 僅かの差異が認められる。コンニャクマンナンのM / G は約1 . 6 で, 加水分解物は桜田, 淵野[ 工化3 6 ,320,324(1933)]によって認められたのと異なる面間隔をあらわすX線図を示した。アイボリーナットマンナンとグルコマンナン酸加水分解物はよく似た赤外吸収スペクトルを示し,コンニャクマンナンはやや異なるスペクトルを与えた。