工業化学雑誌
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カルシウム・カーバイド生成反応における炭素材の反応性( I I )各種炭素材の乾式,湿式酸化反応性とカルシウム・カーバイド生成反応との関連性
鳥飼 直親多和田 寛
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1960 年 63 巻 12 号 p. 2085-2088

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抄録

前報で,粘結炭コークスと非粘結炭コークスの比較を行なったが,本報は,引続き炭素材の種類をふやし,炭素材の性質とカルシウム・カーバイド生成における反応性との関係を明らかにしようとした。
炭素材試料としては,オイルコークス,粘結炭および非粘結炭より製造したコークス,無煙炭,黒鉛等を用い,これら炭素材について, 重クロム酸カリのリン酸溶液中での湿式酸化, 炭酸ガスによる乾式酸化およびBET法による内部表面積の測定を行なった。また同時に, これら炭素材と生石灰より, カルシウム・カーバイド生成を真空電気炉中で行ない,解析, 検討を行なった。反応温度は1800℃の固相反応である。
一般に乾式, 湿式の反応性とカルシウム・カーバイド生成反応との間には直接の関連性はみられない。また, カルシウム・カーバイド生成反応では, 炭素材の種類により反応性に差があり, オイルコークスが最も反応性がよく, コークス,無煙炭がこれに続き,黒鉛が最も悪い反応性を示している。
以上の結果より,カルシウム・カーバイド生成反応では,黒鉛化し易い,すなわち,高温において構造の動き易い炭素材が反応性が良いと考えられる。黒鉛がカルシウム・カーバイド生成において反応性が悪い点から, 黒鉛化の程度そのものは,大して反応に有効に働くとは考えられない。

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