1960 年 63 巻 12 号 p. 2164-2167
1:2型金属錯塩染料のうち,異なる2種のアゾ染料を1個の金属原子(クロムおよびコバルト)に結合させた非対称錯塩染料について, 青色および黄色のアゾ染料を用いてアミランに黒色に染着する堅ロウな染料をうる目的で三十数種の染料を合成しその構造と色調,アミラン,ビニロンに対する染着性,堅ロウ度などとの関係を検討した。青色アゾ染料にはメトキシ基, ニトロ基, スルホンアミド基, カルボキシ基などを有するナフタリン系およびアントラセン系の化合物を,また,黄色アゾ染料にはスルホンアミド基,トリフルオルメチル基,カルボキシ基などを有するピラゾロン系の化合物を用い, 両者を等モルずつ混合し, 金属錯塩化し, 分散染色法でアミランおよびビニロンを染色した。得た染料の染着性は特にアミランに対して良好であり, また現在知られている類似構造を有する非対称錯塩染料の場合が赤色系の色調であるのに対して, アミランを赤味ないし紫味黒色に染色するものの他, 緑味黒色に染色するものが得られ, 堅ロウ度もまた一般に良好であった。これらの色調の差は得た染料の構成, 置換基, 金属などにも影響されるものと思われる。またビニロンに対してはアミランに対するほど良好な結果を与えなかった。
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