工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
マグネシアセメントの水和機構(MgCl2溶液におけるMgOの過飽和とそのpH)
笠井 順一市場 政行中原 万次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 63 巻 7 号 p. 1182-1184

詳細
抄録

セメント類の凝結硬化について古くから諸説がある。著者らは新たな観点から,セメント類の水和反応に錯塩化学的な考え方が必要と考え,その一つの例としてマグネシアセメントの水和について調べて見た。すなわち軽焼マグネシアと塩化マグネシウム溶液からマグネシウムオキシクロリドの複塩を生成するまでの時間中にマグネシアは著しい過飽和現象を示すが,そのpHは理論上考えられるほどの変化を示さない。また塩化マグネシウム溶液濃度の増大はマグネシアの最大過飽和溶解度を増大するにもかかわらず,pHは逆に減少することを確かめた。この結果はマグネシアが溶解しても液相中にはOH-の増大を示さないから,マグネシアは液相中でMg2+とOH-に分れて存在している割合が少ないことを証明する。すなわち副塩生成までの過飽和現象は錯塩化学的な因子があり,一般セメント類の過飽和現象の説明の上に参考となるものと考える。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top