工業化学雑誌
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フミン酸アルカリ溶液の褪色と組成変化
山川 敏雄本田 英昌
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1961 年 64 巻 12 号 p. 2152-2155

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抄録
フミン酸のアルカリ溶液を放置するときその赤褐色ないし黒褐色の着色が次第に褪色することは古くから知られている事実で,フミン酸類の比色法による定量およびフミン化の測定に際し標準液と試料液の不安定性がしばしば論議されてきた。これらの褪色は主として空気中の酸素の酸化作用によるものと考えられるので,種々な条件下に保存したフミン酸アルカリ溶液の褪色状態を可視部の吸収スペクトル測定とフミン酸溶液の組成変化から追究した。その結果,1.開封試料の褪色は著しくかつ保存温度および光の照射の影響が大きく,封管試料では褪色も僅かで保存温度および光の照射による影響も小さい。2.褪色の著しい順に溶液組成はフムス酸を減少し,炭酸ガス,揮発性酸,フルボ酸,ヒマトメラン酸を増加する。3.亜炭フミン酸は石炭化度の進んだ石炭から得た再生フミン酸にくらべ褪色が速やかである,ことなどが認められ,溶液の褪色は主としてフミン酸分子が空気との接触により酸化分解をうけることに基因することが明らかにされた。
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