1961 年 64 巻 2 号 p. 243-245
カルシウム・カーバイド生成反応における炭素材の反応性を明らかにする目的で,1800℃ の固相における炭素材と生石灰との反応を真空電気炉中で行ない,解析を行った。炭素材としては,オイルコークスを電気炉で1000℃ から2600℃までの間で熱処理したものを用いた。
1000℃ および1400℃ に熱処理した炭素材の間では,その反応性にほとんど差異が認められないが,1800℃ 以上に熱処理した炭素材の場合は,熱処理温度が高くなるにしたがって反応性が悪くなっている。このことは,炭素材の結晶の大きさによって反応性が異なり,結晶が成長しているものほど反応性が悪くなっていると考えられる。
これらの実験結果より,炭素材の黒鉛化の程度が低いほど,その反応性は,よりよい結果を示すことがうかがわれる。したがって,高温において構造の動き易い炭素材ほど,よりよい反応性を示すものと考えられる。多分,このような性質を持つ炭素材では,炭素と生石灰の相互拡散が起り易く,そのために,カルシウム・カーバイド生成の反応性がよいのであろうと考えられる。
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