工業化学雑誌
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炭酸カルシウムの熱分解( I )-焼成過程と電気伝導度-
橋本 栄久
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1961 年 64 巻 2 号 p. 250-256

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抄録

炭酸カルシウム単結晶および粉末成形物の電気伝導度を分解圧以上のCO2中300~800℃ で測定した。単結晶は560℃ 以上の定温に保つと電導度が時間とともに減少し,その速度は高温ほど早い。粉末成形物では400℃ 以上で粒子間の融着による電導度の増加が認められ, σ-σ0 =Btn で表わされる。800℃ で2 時間( 分解圧以上のCO2中) 焼成した試料についてはσ=A・exp(-E/RT)の関係が成立し,Aの値は単結晶より粉末の方が300~400倍大きく,結晶表面や粒界におけるイオンの易動度が大きいことがわかる。E は単結晶, 微粉末ではともに約25kcal/mol , 疎な粒子では約3 5kcal/molである。気相中に水蒸気が混入したときは粒子の低温での融着速度は促進されるが,焼成後の電導度は逆に減少する。試料に直流電圧を印加すると,分極による逆起電力が発生し,電流は時間とともに減少する。時間tにおける分極電圧はP(t)=k'tmで表わされる。

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