工業化学雑誌
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リン酸陽極ペーストを用いた鉛蓄電池の特性
石川 俊夫田川 博
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1961 年 64 巻 2 号 p. 264-266

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抄録

ぺースト式鉛蓄電池陽極板においては,鉛粉等の鉛酸化物を希硫酸と混合してペーストとするのが普通である。本報においては二塩基酸である硫酸に代わり,三塩基酸であるリン酸を用い陽極用ペーストをつくり,陽極板の脱落寿命を増大させようとした。実験は自動車用3mm極板使用電池で行ない,リン酸-硫酸混合溶液を用いた場合についても行なった。その結果次のようなことが明らかとなった。
(1)脱落寿命は希硫酸ペーストに比し,リン酸単独ペーストで約40%増加する。ただし活物質量の変化を考慮すると,寿命が増加した主原因は,リン酸を用いたため,ペースト密度が増加した結果と考察される。
(2)リン酸量が増すに伴ない,ほぼ比例的にペースト密度が増加したが,その理由はリン酸が硫酸に比較して弱酸であるため,鉛酸化物に対する反応速度が緩慢であり,ペーストとして同一硬さを与えるために必要とされる添加量が少なくてたりるためである。
(3)リン酸を用いた場合,電池特性の一つであるワット時能率が改善される。

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