工業化学雑誌
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油脂中の極微量の鉄および銅の定量
武内 次夫田中 保
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1961 年 64 巻 2 号 p. 305-307

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抄録

食用油脂中に微量含有されている鉄および銅は油の自動酸化を促進し,臭の戻りや酸敗の現象を起しやすい。したがって油中の鉄および銅の微量物の定量が重要である。定量法としては油20gに約5mlの無機酸を加えて約800℃ で灰化し,灰化物を可溶性にした後鉄はo-フェナントロリン,銅はジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムで比色定量した。この方法の特長は微量物の定量であるので使用する試薬の量を減少し,かつ高純度の試薬を使用して空実験値を小さくしたこと,高温灰化法によって灰化時間を短縮したこと,灰の完全溶解のために炭酸ナトリウム熔融法を採用した点が特長である。この結果分析時聞は約5時間で鉄,銅のそれぞれ0.1ppm程度の微量まで定量ができる。

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