1961 年 64 巻 2 号 p. 311-315
負触媒を含む油脂のトイッチェル法による油脂分解過程における分解剤と負触媒との相互作用を主として水溶液層中の分解剤を定量することにより検討した。p-トルイジン法による分解剤の定量は相当低濃度まで可能であり,イドラピッドを分解剤とした場合,硫酸精製ナタネ油の標準分解では5時間以後の水層中の分解剤の量はほとんど一定となり,しかも初めの使用量の約30%が水層中に残ること,また,酸敗大豆油のような負触媒を含む油脂を分解する場合には水層中の分解剤の量は著しく減少すること,および通常分解反応の誘導期と考えられている現象には負触媒の存在に起因する部分が相当あると考えられることを認めた。
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