工業化学雑誌
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シス型クリソフェニンの合成
増尾 富士雄木村 善男
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1961 年 64 巻 2 号 p. 331-334

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抄録

4,4′-ジアミノスチルベン-2,2′-ジスルホン酸ソーダのトランス異性体の水溶液に水銀燈の紫外線を照射して光異性化を行ない,この溶液より約40%の収率でシス異性体を分離した。このシス異性体を普通のトランス異性体の場合と同じ方法によりテトラゾ化してフェノールとカップルさせると,シス型のBrilliant Yellowが得られる。またこのようにして得たBrilliant Yellowにジエチル硫酸を作用させると,末端の2個のヒドロキシル基がエチル化され,中央のエチレン結合がシス型のChrysophenineが得られる。この異性体の紫外・可視吸収スべクトルの極大吸収波長は360mμであって,トランス異性体の場合よりも約40mμ 短波長側にあり,かつその吸収強度はトランス異性体よりも弱い。またシス型のBrilliant YellowとChrysophenineは羊毛にはよく染まるが, 繊維素繊維にほとんど染まらず, その直接性がトランス型に比較して著しく低いことを実験的に確かめた。

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