1961 年 64 巻 2 号 p. 334-337
三硫化モリブデンを触媒としてジペンテンおよびd-リモネンの接触還元を行ない,p-メンタンおよびp-シメンの生成の状態を調べ,ピネンを還元した場合のp-メンタンおよびp-シメンの生成過程との関係を比較考察した。ピネンの場合と同じく,水素初圧77.4atmにおいて200℃ および300℃ で行なった。200℃ における生成物中には300℃ のものにくらべてp-シメンが多いが,300℃ の生成物は大部分p-メンタンであった。これらの結果はピネンを還元したものとほぼ同じような結果である。また200℃ のものにp-メンテン-3および微量のα-テルピネンの存在を認めたが,300℃のものには認められなかった。これらのことから200~300℃ のもとでジペンテンおよびd-リモネンは三硫化モリブデンにより還元せられてp-メンタンとなるが,同時に接触異性化,脱水素を起してp-シメンとなり,高温になるにしたがいp-メンタンに還元される傾向の大きいことが認められた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。