1961 年 64 巻 2 号 p. 361-366
グルコースを亜硫酸アンモニア水溶液で蒸煮すると,アンモニアの一部はグルコースと反応として有機態の窒素に変わる。蒸煮液を陽イオン交換樹脂で処理するとこれに吸着性の有機窒素成分(A)と非吸着性の有機窒素成分(B)とに分離することができ,窒素量の比較ではA:B=3:7と測定された。Aはアミノ酸(アラニンおよびグリシン)等の陰イオン交換樹脂に吸着性の両性含窒素成分と,非吸着性のアルカリ性含窒素成分とを含む。アルカリ性成分はペーパークロマトグラフィーにより二つの含窒素物質を主成分としていることを明らかにすることができ,弱酸性成分は少なくとも2種類の含窒素酸から,また強酸性成分は数種類の含窒素酸からなっていることを認めた。分析の結果,弱酸はイオウ1個に対して窒素2個を含むようなスルホカルボン酸であり,強酸はイオウ1個に対して窒素1個を含むようなスルホン酸であると推定した。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。