工業化学雑誌
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パラ置換フェニル尿素とホルムアルデヒドの反応
井本 稔谷垣 禎一前野 保
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1961 年 64 巻 2 号 p. 389-392

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抄録

7種のp-置換フェニル尿素とホルムアルデヒドとの反応を酸性触媒について検討した。まずp-オキシフェニル尿素とホルムアルデヒドとの反応から,初期メチロール化反応速度式は次式にて示されることを確かめた。
ν=-dF/dt=k[HCl][F][U]
ただし,k:メチロール化反応速度定数,[HCl]:触媒塩酸濃度,[F]:ホルムアルデヒド濃度,[U]:p-オキシフェニル尿素濃度
。ついで,7種のp-置換フェニル尿素について,上式のkを測定し,置換基の性質が反応速度におよぼす影響から反応機構を考察した。置換基の導入は明らかに反応速度に影響をおよぼし,置換基の電子供給性が大きくなるほど反応速度は早くなり,電子吸引性が大きくなるほど遅くなった。この結果はハメット則をよく満足した(ρ=-0.765)。これから,酸性における置換フェニル尿素のメチロール化は, メチロールカチオンが尿素基の第1 級アミンの水素と置換反応するものと考えられる。

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