電気陰性度が1.2よりも大であるような金属の金属アルキルは単独ではビニル重合を誘起し得ないが,酸素化合物,キノン類を共触媒として用いるとビニル化合物のラジカル重合の開始剤となることをすでに報告した。金属アルキルと適当な金属ハロゲン化物とをビニルモノマーの存在下で混合した時にもかなりの速度で重合がおこる。これに対し,予めこの2成分を混合した系は活性に乏しい。共触媒として有効な金属ハロゲン化物は金属アルキルの種類によって異なるが,一般に共触媒となるのは電気陰性度が1.5~2.0の金属の化合物である。ビニルモノマーの共重合反応性を検討したところ,この系における重合反応はここに検討した範囲ではほとんどの場合ラジカル的におこっていると考えられる。この金属アルキル-金属ハロゲン化物系によるビニル重合の機構,およびオレフィン類のいわゆる配位陰イオン重合との関連についても考察を加える。
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