工業化学雑誌
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塩化カルシウムの添加に伴なう豆乳の電導度およびpHの変化
田村 寉央
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1961 年 64 巻 3 号 p. 559-564

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抄録

塩化カルシウムによる豆乳凝析の機構を明らかにする目的で行なった研究の一つで,塩化カルシウムの添加に伴なう豆乳の電導度およびpH値の変化を測定,凝析との関連において検討した。
その結果,(1)塩化カルシウムの添加に伴なって豆乳の電導度およびpH値はそれぞれ特異的に増加および減少するが,(2)κ-[Ca2+]曲線およびpH-[2+]曲線は常に特定の2+濃度において折点を有する直線どなり,(3)折点における2+濃度は豆乳の濃度に比例し,豆乳が急凝析期に入る直前に現われることを見出した。また,(4)30℃で豆乳を凝析させるとき,凝析終点までに豆乳成分より解離するH+数は0.073×10-6mol/gで2+の同結合数よりはるかに小さいこと,(5)酸を豆乳に加えるとき2+によると非常に類似した凝析曲線をうるが,30℃において完全凝析に必要なH+の最少結合数は豆乳成分に対し2.6×10-4mol/gで,2+の同結合数0.52×10-4mol/gの約5倍に当ることなどを明らかにした。

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