工業化学雑誌
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空気中の微量ベンゼン,トルエン,キシレン混合物の分別定量
武内 次夫石井 大道
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1961 年 64 巻 5 号 p. 763-769

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抄録

空気中の微量ベンゼン, トルエン, キシレン混合物はその毒性がそれぞれ異なるため, これらを分別定量する確実な方法が保健衛生の面から必要となってきた。そのためこの目的の新分析法として,1)試料を直接ガスクロマトグラフにより定量する。2)ガスクロマトグラフで分離後,硫酸ホルマリン法により吸光光度法で定量する。3)小カラム中にこれらを濃縮した後,加熱気化してガスクロマトグラフにより定量する。4)冷却メタノール中にこれらを吸収後,紫外線吸収スペクトル法により定量する。5)水素炎イオン化検知器を用いる高感度のガスクロマトグラフ装置で直接定量する。以上の5法について研究した。その結果1)法では検知器に熱伝導度セルを用いる現在市販の装置では試料空気100mlを用いて,数10ppm程度のこれら3成分の検出は出来た。しかしそれ以下の濃度の検出は困難であった。2)法では空気100mlを用いてベンゼン25ppmが定量し得られたが,トルエン,キシレンについては定量誤差がやや大きかった。3)法では空気1lをDOPの小カラム中に冷却して通し,これらを濃縮して定量すればおのおの数ppmが検出し得られ,各数10ppmの混合物が相対誤差3%程度で定量可能であった。4)法では空気5lを用いてメチルアルコール中に捕集し,248.5mμ,268.6mμ,272.5mμ における吸光度の測定に特別の工夫を行なうことによりおのおの30~40ppmが相対誤差2.3%以下で定量することが可能であった。5)法では以上の方法にくらべてその定量感度が数100~数1000倍良好であり,その一例として試料空気5mlを用いておのおの1ppmが十分検出し得られ,各40ppmの混合物が相対誤差3%程度で定量することが可能であった。

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