工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
64 巻, 5 号
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  • 荒木 峻, 島田 明
    1961 年 64 巻 5 号 p. 747-749
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 武内 次夫
    1961 年 64 巻 5 号 p. 750-756
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 山崎 秀郎
    1961 年 64 巻 5 号 p. 757-759
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    昇温型ガスクロマトグラムのピークの特性を統計的な量により記述することにより理論的な考察を行なった。本理論により定温度型のクロマトグラムでの保持時間またはピーク幅の対数と同系列の化合物の炭素数との間には直線性が認められるが,昇温型ガスクロマトではこれらの量そのものと炭素数の間に直線性のあることを適当な近似の下に導くことができる。更に実際上使用されているパックドおよびキャピラリーカラムについての実験結果についても考察を行なった。
  • 山根 幹也
    1961 年 64 巻 5 号 p. 759-763
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高感度ガスクロに使用される放射線電離検知器はキャリアーガスとしてアルゴンを使用するのが定石となっている。感度は従来の検知器にくらべ,格段すぐれ,微量試料の分析に適しているが,定量分析には若干の困難が伴なう。本論文は放射線電離検知器による定量分析の一方法を述べたもので,まず定量分析の原理を解明し,ついでキャリアーガスとして水素を使用した基礎実験において, 理論の確証をえた。感度の点では劣るけれども, 無機ガス, 有機ガスいずれの気体にも適用でき,較正もまたきわめて容易な定量分析方法である。最後に簡単な気体の分析例を示した。
  • 武内 次夫, 石井 大道
    1961 年 64 巻 5 号 p. 763-769
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    空気中の微量ベンゼン, トルエン, キシレン混合物はその毒性がそれぞれ異なるため, これらを分別定量する確実な方法が保健衛生の面から必要となってきた。そのためこの目的の新分析法として,1)試料を直接ガスクロマトグラフにより定量する。2)ガスクロマトグラフで分離後,硫酸ホルマリン法により吸光光度法で定量する。3)小カラム中にこれらを濃縮した後,加熱気化してガスクロマトグラフにより定量する。4)冷却メタノール中にこれらを吸収後,紫外線吸収スペクトル法により定量する。5)水素炎イオン化検知器を用いる高感度のガスクロマトグラフ装置で直接定量する。以上の5法について研究した。その結果1)法では検知器に熱伝導度セルを用いる現在市販の装置では試料空気100mlを用いて,数10ppm程度のこれら3成分の検出は出来た。しかしそれ以下の濃度の検出は困難であった。2)法では空気100mlを用いてベンゼン25ppmが定量し得られたが,トルエン,キシレンについては定量誤差がやや大きかった。3)法では空気1lをDOPの小カラム中に冷却して通し,これらを濃縮して定量すればおのおの数ppmが検出し得られ,各数10ppmの混合物が相対誤差3%程度で定量可能であった。4)法では空気5lを用いてメチルアルコール中に捕集し,248.5mμ,268.6mμ,272.5mμ における吸光度の測定に特別の工夫を行なうことによりおのおの30~40ppmが相対誤差2.3%以下で定量することが可能であった。5)法では以上の方法にくらべてその定量感度が数100~数1000倍良好であり,その一例として試料空気5mlを用いておのおの1ppmが十分検出し得られ,各40ppmの混合物が相対誤差3%程度で定量することが可能であった。
  • 舟阪 渡, 小島 次雄
    1961 年 64 巻 5 号 p. 769-772
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーを用いてキノリン留分の成分の検索,定量分析を行なった。まずシリコーン油のカラムを用いて沸点順に分離し,さらにジグリセロールのカラムを用いて沸点順に分けられた各留分の分離を行なった。その結果,主成分キノリン, イソキノリン, 2 - メチルキノリン以外に8 - メチルキノリン, 3 - メチルイソキノリン, 2 , 8 - ジメチルキノリンの存在を確認することができた。面積分布を測定して定量分析を行なった結果,キノリン留分中には,キノリン82.5%,イソキノリン11.1%,2-メチルキノリン6.44%が含まれていることがわかった。
  • 原 伸宜, 島田 浩, 大江 稔
    1961 年 64 巻 5 号 p. 772-777
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    キャリアーガスとしてヘリウム- アルゴンまたはヘリウム- 窒素の混合ガスを用いたガスクロマトグラフィーについて研究した。水素を含有するガス状炭化水素の気- 液クロマトグラフ分析に, これらの混合キャリアーガスを用いると, ヘリウムをキャリアーとした場合のような水素の異常ピーク現象が起らず,また窒素,アルゴンなどをキャリアーとした場合よりも炭化水素に対する感度が遙かに良好で,正確な分析が可能である。また気-固法で混合キャリアーガスを用いると,単一成分の試料に対して2個のピークが得られる新現象を見出した。この方法によると,一般に試料成分数より1個多いピークが得られるが,この現象は置換吸着の機構によって説明できる。
  • 丸山 正生, 妹尾 節哉
    1961 年 64 巻 5 号 p. 777-780
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    不飽和結合をもつ高級脂肪酸メチルエステルのガスクロマトグラフィーに使用する固定相としてクロトン酸変性ポリ酢酸ビニルを結合剤を兼ねた液相とし,セライト545の粉末を固めて30~40メッシュの大きさの穎粒に造粒したものを用いて分析をおこなった。
    この固定相によりC 1 8 の脂肪酸, ステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, およびリノレン酸のメチルエステルを完全に分離することができた。相対保持容量はステアリン酸メチルを1とするとそれぞれ1.13,1.36,1.69であり,分離能もポリエステル系のReoplex400などの固定相と対比しうるのみならず,原料は市販品として容易に入手でき,またセライト545は粉末を利用するため高級脂肪酸メチルエステルの分析に広く利用しうるものと考えられる。
    この固定相による脂肪酸組成の分析例として,数種の植物油および生体組織中の脂肪酸をメチルエステルとし,ガスクロマトグラフィーをおこなった結果を示した。
  • 西村 佐知夫, 市塚 勇
    1961 年 64 巻 5 号 p. 780-783
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々のポリエーテルグリコール,およびそのウレタン化物を固定液相として,プロパンおよびプロピレンの塩化物のガスクロマトグラブィーを行ない,エチレンオキシドとプロピレンオキシドを同量含有する分子量2000のブロックポリエーテルグリコールと,トリレンジイソシアネートより,生成するポリエーテルウレタンを固定液相として用いる時,各種塩素化異性体混合物のガスクロマトグラムが最も良好な分離を示すことを認めた。この固定液相を用い種々の炭化水素,塩素化炭化水素, アルコール等の相対保持容量を求め, このカラムが不飽和化合物と極性化合物を選択的におくらせることを確めた。
  • 川角 一久, 片岡 節郎, 丸山 嘉蔵
    1961 年 64 巻 5 号 p. 784-787
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    数種類の高純度メチルクロルシランを調製し,これらメチルクロルシラン類のガスクロマトグラムを6種の固定相について検討した。選んだ油類6種の固定相のうち,流パラ,絶縁油H-132がそれぞれ特徴ある分離能を示すことを見出した。微量の含有成分量を正確に定量するには,単独の固定相よりむしろ両者それぞれ4mカラムを直列に使用することにより, 選んだメチルクロルシラン類5 成分の混合物を完全に分離することができた。分析にあたっては, 注入試料量の規正が困難なために,トリメチルクロルシランを基準とする相対感度を用いて,ピーク面積を補正すれば,誤差1%以内の精度で定量分析できた。
  • 村田 洋子, 竹西 忠男
    1961 年 64 巻 5 号 p. 787-791
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーは揮発性有機物の分析には非常に有効な方法であるが,有機物の希薄水溶液の分析にも利用できれば便利である。水溶液をガスクロマトグラフィーで分析する場合水の保持時間が非常に長いこと,テーリングを生ずるなどの困難さがある。われわれは水溶液から目的成分を抽出するなどの前処理をおこなわないで直接ガスクロマトグラフィーでアルコール類,ニトリル類,アルデヒド類の希薄水溶液の分析をおこなった。固定相液体としてはポリエチレングリコール,グリセリンを用いた。またアルデヒド類の分析にはグリセリンとシリコーングリースの混合カラムが有効であった。この方法でアルコールの分析は±5%以内の誤差で分析できた。更に混合カラムを装置内に反応管カラムとつないで, アミノ酸( アラニン, バリン, ノルバリン, ロイシン, ノルロイシン) の水溶液の分析にも応用した。
  • 松浦 多聞, 古前 恒, 荒谷 孝昭, 林 修一
    1961 年 64 巻 5 号 p. 791-795
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    22種のテルペン炭化水素類のクロマトグラ本を,4種の固定相(PEG6000,TCP,squalene,squalane)について検討した。試料注入量と保持時間の関係を各炭化水素について決定し,試料量ぜロにおける各試料の内部標準物質(1,8-シネオール, シクロヘキサノール) に対する絶対的相対保持値を決定した。また調合試料につき各固定相を用いた場合の分離能について検討した。その結果,いずれの固定相を用いた場合も各炭化水素の溶出順位は大体沸点順位と一致した。また試料注入量の増加により保持時間が大となり,溶出順位のおそいものほどこの傾向が顕著であった。PEG6000では尖鋭なピークが得られ分離能が最もよく, 試料の分解や異性化がみられず, 分析所要時間が最も短い。TCP ではp - メンタンの立体異性体の分離がなされた。squalaneはsqualeneよりも分離能悪く,β-ピネンの分解をともない4種の固定相のうち最も性能が悪いことを見出した。
  • 松浦 多聞, 荒谷 孝昭, 古前 恒, 林 修一
    1961 年 64 巻 5 号 p. 795-799
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    裸担体の分析試料におよぼず作用を明らかにする目的で,市販担体および処理方法の異なる水晶粉末,パイレックスガラス粉末,担体用レンガ粉末,イソライトN-4レンガ粉末など14種を用いて,50種の化合物のクロマトグラムを測定した。
    実験は裸担体をつめたカラムのつぎに同定用カラムを直列に連結して行なった。硝酸処理した水晶粉末では分析試料に対する接触作用が認められなかった。市販担体などではほとんどすべての化合物に接触作用が認められ,若干の化合物に吸着作用も認められた。
  • 松浦 多聞, 荒谷 孝昭, 古前 恒, 林 修一
    1961 年 64 巻 5 号 p. 799-802
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で硝酸処理した水晶粉末は試料に対して接触作用をおよぼさないことが明らかになったので,本報ではこの粉末の担体としての性能を検討した。Thermol-1を塗布して固定相とし,含酸素化合物の単一試料および調製混合試料のクロマトグラムを測定した。100~180メッシュの粒度のものにその1/10量のThermol-1を塗布した固定相は,市販担体IにThermol-1を1/5量塗布した固定相に比較して,ピークの形状および混合試料の分離能ともにはるかにすぐれた結果を示した。
  • 高山 雄二
    1961 年 64 巻 5 号 p. 803-806
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    固定相担体に対する固定相液体の量を減ずることは, 保持時間の減少, ガスクロマトグラフ法の迅速化, イオン化検出器におけるダークカレントの減少上好ましいので, アルゴンガスクロマトグラフを用いC - 2 2 , セライト酸処理物等につきDOSの量を25~1%間に変化させ,種々の試料を注入し,ガスクロマトグラムのピークの保持時間,テーリングの具合を検討した。その結果DOSの量が少なくなると,炭化水素のような疎水性物質では悪い点はみられないが,親水性試料になるほどピークははげしくテーリングを示し,使用にたえないことがわかった。その改良を研究した結果,セライト酸処理物を強熱焼成することにより,このような欠点がほとんど認められないすぐれた固定相担体をつくることができるようになった。
  • 島田 明, 川上 敞
    1961 年 64 巻 5 号 p. 806-809
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジエチルホルムアミドとシリコンの2段カラムを炭化水素ガスの分析に使用し,カラムの劣化について検討した。固定相液体付着量を11~30%の範囲でかえたカラムを連続使用した場合, 理論段数の経日変化は固定相液体の付着量に関係なくほぼ同一勾配で直線的に減少することを認めた。理論段数の経日変化は試料導入量に関係なくキャリアーガスによる固定相液体の揮散に起因するが,使用後のカラムについてカラムの各部分の固定相液体付着量を赤外線吸収分析法により定量し,固定相液体の移動の状態を調べた。更に劣化後の固定相液体の分布を再現したカラムをつくり理論段数を測定し,上記2段カラムの劣化の原因はジエチルホルムアミドの移動にもとづく固定相液体の濃度分布の偏在が生じることに起因することを認めた。
  • 野村 岱夫, 額田 正巳
    1961 年 64 巻 5 号 p. 810-814
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    プロセス用ガスクロマトグラフの適用によってブロセスガスを連続的に多数回採取分析する場合, 研究室的な使用とは 異なって非常に大きな負荷をカラム充填物の上に与える。著者らはモレキュラーシーブ13Xを充填した吸着カラムを用 いてコークス法における水性炉,発生炉ガス中の残存酸素量を分析対称として連続分析を行なった。その場合,試料ガスキャリアーガス中の水分除去を十分に行なわねばカラム特性が変化してほとんどプラント用分析計として適用できない。カラム特性の移動は,その使用初期よりあたかもカラム実効長の減少を示すような方向性をたどり,酸素,窒素各ピーク間の分離度は減少,各ピーク高は増加する。カラム内流入ガス中の含水量を-50℃(露点)以下に抑えることによって,カラム特性の変化率を極めて小さくできる。
  • 春木 達郎
    1961 年 64 巻 5 号 p. 814-819
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ベンジル・ジフェニルを固定相とし, ヘリウムを移動相としてベンゼン, トルエン, キシレン混合液を試料とし, その 中のオルトキシレンとトルエンとを対象としてカラム直径,液相量,担体粒度を変えた場合のキャリアーガス流速と平均理論段高さとの関係を求め,平均理論段差圧および平均理論段所要時間についても検討した。液相量の少ないこまかい充填物を細いカラムにつめて使い, それに応じて試料量をへらすことが平均理論段高さを小にする点で好ましい。また与えられた小さい圧力内で最も高い理論段数を得ようとするにはあらい担体の充填物を長いカラムにつめ,あまり速くない流速で使うことが好ましい。少ない液相量の充填物を用いることが時間の経済の点で最も有効である。
  • 春木 達郎, 板屋 宗明
    1961 年 64 巻 5 号 p. 820-825
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水素炎イオン化ディテクターを試作し, その感度および安定度に影響を与える要因を検討した。その結果, これまでの報告では,あまり影響を与えるものでないといわれていたものの中にも,高感度で使用する場合には無視できないもあがあり,かなりの精度で制御を必要とするものがあった。また全然知られていない新しい要因を見つけ出すことができた。結果は次のとおりである。
    1)ノズルの径は細くなるにしたがい高感度になる。
    2)空気よりも酸素を用いる方が感度は高い。
    3)キャリアーガス流量をかえても条件によってピーク面積はかわらない。
    4)従来のS感度はこの形式のディテクターには使えない。
    5)燃焼槽温度が感度に関係する。
    6)キャリアーガスと水素ガスとの最適流量関係の式を提案した。なお,印刷包装紙中の残存溶剤検出,飲酒者の呼気からのアルコールの検出等二,三のクロマトグラムを得た。
  • 春木 達郎
    1961 年 64 巻 5 号 p. 825-830
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2 個のカラムにそれぞれ接続されているディテクターの信号の差を検出するようにされたダブルカラム流路を持ち, カラム温度350 ℃ まで安定に使用でき, カラム入口圧6 atm まで使用でき, 別個に設けられたディテクター恒温槽内に水 素炎イオン化ディテクターを熱伝導度ディテクターと共存せしめうるようにし,高沸点試料,特に固体試料を高圧または高温の気化室に損失なく導入できる試料導入系を持つガスクロマトグラフ装置をつくった。
    この装置を用いて,試料差検出ガスクロマトグラフイーを行ない,30mのカラムで約25000段の理論段数を得,成形ナイロン棒, ポリエチレン薄膜, ポリスチレン膜などから採取した固体を試料とするクロマトグラムや, C30 ~ C40 のノルマルパラフィン, DOPとTCP などの高沸点試料に関するクロマトグラムを得た。
    また水素炎イオン化ディテクターと熱伝導度ディテクターとによる同時記録のクロマトグラムを得た。
  • 春木 達郎, 浅井 圭
    1961 年 64 巻 5 号 p. 830-834
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    プロセス計装に適する型としてのガスクロマトグラフの広範な需要に応ずべく, プロセスガスクロマトグラフの試作研究を行ない,特にその流路を含めた試料導入系およびプログラマーの特徴を中心にして結果を報告した。また体積%対ピーク高さの関係ならびに分析の一例を示した。
  • 向坊 隆, 高橋 洋一
    1961 年 64 巻 5 号 p. 835-839
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    不通気性処理による低透過度黒鉛の気体透過率Kを,K=10+1~10-6cm2/secの広い範囲にわたって簡便に測定できるような装置を考案した。これを用いて,定容積への気体透過による圧上昇の測定から,黒鉛内の気体の平均圧力Pmの関数として透過率を求めた(透過気体は空気)。
    細孔内の透過には粘性流と分子流(Slip flow)の存在が考えられるので,全透過量に対する粘性流の寄与の比率をパラメーターzで示し,このzを用いて粘性流と分子流の混在する場合の透過速度を示す一般式をみちびいた。実験結果は,この式によってよくあらわされる。また,zは圧上昇-時間曲線より近似的に簡便に求め得る。以上によって測定したKおよびzの値より,黒鉛の流れに対して有効な細孔の孔径分布などの構造を論じた。また,気体の平均自由行程が細孔径とほぼ同じ大きさになることに起因するPmとKとの直線関係における屈曲から,細孔の有効平均径を求めうることを示し,気体の流れに対して有効な細孔構造は透過率測定の結果を用いて論ずべきことを述べた。
  • 岡田 純
    1961 年 64 巻 5 号 p. 840-844
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第3報にカーボンねつ合物を押出すときに必要なバインダー量を比較するために,所要バインダー量ω+(P)なる量を定義し,これがフィラー粒度配合によりいかに変化するかをしらべた。
    また,フィラーのもつ圧縮下の空隙率から,その空隙をすべて充填するに必要なバインダー量ω0(W)を求めて,ω+(P)とω0(W) をP=W の場合について比較し, ω+= b ω0のような簡単な相関式で示されることを見出した。この報告では,第3報に引きつづいて,その他の条件,カーボンブラックを配合した場合,コークス銘柄,コークス〓焼,黒鉛化されたコークスの配合, 天然黒鉛の場合, バインダー銘柄などの条件によって, いかに所要バインダー量ω+が変化するかをしらべた。また, これによって, ω+=bω0 なる式が, 更に確められ, 第1近似として, 所要バインダー量の推測に役立つことがわかった。
  • 植田 四郎, 寺石 和夫, 中川 達朗
    1961 年 64 巻 5 号 p. 845-849
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポーラログラフを用いてマンガンイオン(Mn2+)を種々の鎖長の重合リン酸ナトリウム水溶液で電流滴定を行ない,得られた電流滴定曲線によって鎖長の違いによるマンガンイオン封鎖能を測定することが出来た。
    同時に別の実験で,硬水軟化力測定法であるセッケン法をマンガンイオンに対して適用,ならびにマンガンイオン比色分析法であるホルムアルドキシム法を用いて同様の実験を行ない,この三つの方法による結果を比較したところ,電流滴定法ははるかによい再現性をもって正確に測定できることがわかった。
    実験に供した重合リン酸ナトリウみの平均鎖長は,それぞれ2,3,7,13,69で鎖長が長くなるにしたがってマンガンイオン封鎖能が減少する事実が認められた。
    重合リン酸ナトリウム水溶液によるマンガンイオンの電流滴定の支持塩として塩化カリウム, 酢酸- 酢酸ナトリウム緩衝液,テトラエチルアンモニウムブロミドの使用を試みたが,この中でテトラエチルアンモニウムブロミドのみが明確な終点を与えた。
  • 友田 宣忠
    1961 年 64 巻 5 号 p. 849-851
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    臭化銀の写真乳剤に過剰の硝酸銀を添加した場合,乳剤の焼出し効果が増し,過剰の硝酸銀とシュウ酸を加えた場合はさらに焼出し効果が著しく起る。純臭化銀乳剤にアジ化ナトリウムを添加した場合にも乳剤の焼出し効果は増し, さらにシュウ酸を添加することによって焼出し効果はいっそう大きくなる。純臭化銀製造の工程中,乳剤混合終了後にアジ化ナトリウムを添加した場合にも,乳剤の焼出し効果は増加され,また既製フィルム,印画紙をアジ化ナトリウム水溶液で処理した場合にも乳剤の焼出し効果が増大することが認められた。
  • 加藤 正義
    1961 年 64 巻 5 号 p. 851-855
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ることによって濃厚なスズ酸ソーダ溶液を調製する研究を行なった。
    その基礎的実験としてアルカリ溶液中におけるスズリ陽極挙動, 不動態化に達する限界電流密度とアルカリ濃度との関係,温度の影響,電流効率,溶出速度および隔膜材質等について測定を行ない,これらの実験結果に基づいて最も好適と認められる条件を採用し,スズ酸ソーダ溶液の電解調製を行なった。
    すなわち,5%カセイソーダ溶液1lを電解液とし,温度50℃ で陽極電位をN酸化水銀電極照合で-0.800Vに保ちながら電解を行ない,短時間で高濃度にまでスズ酸ソーダを溶出させることができた。
  • 住吉 義博, 野田 稲吉
    1961 年 64 巻 5 号 p. 855-860
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    含フッ素ケイ酸塩溶融体の電気伝導度を,白金円筒形測定ソウ(槽)中に対向させた2枚の白金板を電極とし,ホイートストンブリッジで測定した。分極容量を消却し終点を鋭敏にするため,ブリッジ測定辺に1μF蓄電器を入れ,分極抵抗を消却するためには電源周波数を変え,R-f1/2の関係から周波数無限大の値を求め,真の溶融体抵抗とした。試料としてはフッ素金雲母(KMg3AlSi3O10F2),調合原料POM2(KMg3AlSi3O9.88F2.24),ホウ素金雲母(KMg3BSi3O10F2)をとった。フッ素金雲母,POM2の電導度は1400℃以上では0.16~0.18Ω-1cm-1,ホウ素金雲母では1200℃ 以上で+0.10~0.14Ω-1cm-1となった。各試料とも結晶析出温度の上下で急激に電導度は変化するが,フッ素金雲母の変化が最も大きく,ホウ素金雲母はやや不明瞭である。結晶析出温度より数十度高い温度ではlogk-1/Tは直線上にのり,これから電導の活性化エネルギーを求めるとフッ素金雲母,ホウ素金雲母では約30kcal/mo1,POM2では24kcal/molとなった。
  • 中 重治, 萩原 真樹, 飯田 大雄, 野田 稲吉
    1961 年 64 巻 5 号 p. 860-865
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フッ素金雲母- フッ化カリウム系の生成鉱物の析出過程を明らかにするため, 急冷法によりフッ化カリウム分58wt%以下の範囲の組成の溶融体から常温までに生成する鉱物と液相の範囲を調べた。
    フッ素金雲母-フッ化カリウム反応系の生成する鉱物の析出過程は,組成中に存在するMgF2-KF系の鉱物の生成量に著しく影響され, フッ化カリウム分が20~30wt% まではKF・MgF2の生成量は少なく, 初晶としてフッ素金雲母が析出し,KF・MgF2の析出量が最大となるフッ化カリウム分35.6wt%の組成および2KF・MgF2の生成をみるフッ化カリウム分35.6wt%以上の組成ではK2O・Al2O3・2SiO2とK2O・Al2O3・4SiO2の両者がまず析出する。K2O・Al2O3・2SiO2の析出量は高温度では多く,KF・MgF2の析出温度以下の低温度ではK2O・Al2O3・4SiO2の析出量を増すようである。またKF・MgF2の析出後K2O・MgO・SiO2およびβ-K2O・MgO・3SiO2が析出し,フッ化カリウム分が少ない35.6wt%以下ではK2O・MgO・SiO2とβ-K2O・MgO・3SiO2はほぼ同時に析出するようであるが, フッ化カリウム分が35.6wt%より多くなるとβ-K2O・MgO・3SiO2の析出量が少なくなり, K2O・MgO・SiO2の析出後β-K2O・MgO・3SiO2が析出することを認めた。
  • 福田 延衛
    1961 年 64 巻 5 号 p. 865-871
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポルトランドセメントの焼成において, そのクリンカーに含まれるSO3は, アルカリと結合して硫酸塩を生じ, アルカリに対して過剰のSO3はCaOと結合してCaSO4を生成するものとされているが, 著者が先に行なった実験により,このCaSO4はCaO , Al203 とともに3 成分化合物を生成することが予測されたので, ここにCaO-Al203 -CaSO4系の固相反応を調べ,その生成物を確定しようとした。まずCaO-Al2O32成分系について実験した後合成したバン土酸三石灰を用いた3CaOAl203-CaSO4系配合について, 次に3CaO-3Al203-CaSO4系の配合, ついで5CaO-3Al203-CaSO4および3Al203-4CaSO4系の配合, およびSO2ガス流中4CaO-3Al203 系配合, 最後にn ( CaO,Al203)-CaSO4n=1 ~5の配合等の各種配合試料を焼成し,その化学分析,X線回折,X線による定量分析および高温加熱試料のX線回折等による実験の結果,CaO-Al203-CaSO4系の固相反応において,3成分化合物の生成を確認し,その組成は3CaO・3Al203・CaSO4と定めることが出来た。
  • 今岡 稔
    1961 年 64 巻 5 号 p. 871-878
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ホウ酸塩系の高ビスマス- 鉛系ガラスについて, そのガラス化範囲と物理的諸性質を調べた。この系の特長は少量のガラス形成酸化物の存在によってガラス化することで, たとえばB2O3-CdO-PbO - Bi2O34 成分系ではB2O3 5mol % (1.4wt%)でガラス化する。またその物理的性質もテルライトガラスに類似するが,比重7.0~8.4,熱膨張係数11.4~14.3×10-6,変形温度255~377℃,屈折率2.18~2.42,Abbe数11~16,誘電率23.8~34.6と概して後者を上まわる値を示している。次に熱膨張係数,屈折率,誘電率について加成性を検討し,それぞれの成分因子を算出した。またそれらの結果を参考に上のガラス化範囲を説明するガラス講造について検討し,BとBとの間をつなぐb 族イオンの数は, ほぼ類似した異種イオンの混在によりその数が増すとの結論をえた。
  • 八木 一郎
    1961 年 64 巻 5 号 p. 878-881
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    N-ベンジルn-ドデシルアミン(B.D.A.)および N-シクロヘキシル n-ドデシルアミン(C.D.A.)による0.03~7.ONの硫酸溶液中のトリウムと希土類元素(144Ce-144Pr,91Y)の分離について検討を行なった。
    B.D.AおよびC.D.A.がトリウムの抽出に好都合な性質があることは,1個のN-ベンジルあるいはN-シクロヘキシル基を有する,2級,3級のあわせて11種類のアルキルアミンの予備実験の結果からくることができた。トリウムを抽出する場合の最適の硫酸濃度はC.D.A.の場合約0.1N,B,D.Aの場合約0.1~1.ONであり,希釈剤としてはいずれも,ベンぜンが最も望ましかった。アミン1ml当りのトリウム吸着量は,0.1N硫酸溶液の場合に,B.D.A.では約150mg,C.D.A.では約130mg(いずれも酸化物換算)であった。
    硫酸アンモニウムが少量存在することは影響がみられなかったが,約0.1mol/lの濃度を越えるとトリウムの抽出率はやや減少する傾向がみられた。
    B.D.A.は有機相のトリウム濃度が低いところではやや多くの希土類元素を抽出する傾向があるが,抽出段階で有機相をトリウムで飽和させることにより, 希土類元素の汚染をさけられることを知った。C.D.A.はB.D.A.よりも高い除染係数がえられた。
  • 浅岡 忠知, 安川 三郎, 広田 勇蔵, 長沢 斉, 菊賀 外代二, 石黒 勇太郎
    1961 年 64 巻 5 号 p. 881-884
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    金属アルミニウム(以後Alと略記する)と四塩化炭素(以後CCl4と略記する)を反応させると六塩化エタンを生じ塩化アルミニウム(以後AlCl3と略記する)を副生する。副生したAlCl3は触媒として働き,この反応自体を累加的に促進させ六塩化エタンの収量とAlの腐食量を急速に増す。そして反応が急速に進み出すまでには一定の時間すなわち誘導期が存在する。最近AlまたはAl合金の切削加工後の脱脂に多くの塩素化炭化水素が使用され,Al表面の腐食あるいは爆発的反応による事故の発生が報じられている。この事故防止の一策として誘導期延長に有効な阻害剤の添加があげられる。脂肪族アルデヒドは既報の脂肪族1価アルコールと同じく炭素数多いほど,またn-よりもiso-の方が阻害力大である。すなわち官能基の電子密度大であるほど求電子的なAlCl3を捕捉して付加化合物を生成し,その触媒能を減殺するものと思われる。2価および3価アルコールはCCl4に難溶であるにもかかわらず,脂肪族1価アルコールまたはアルデヒド類の100~1000倍の阻害力を有する。そして阻害の機構としてはAl表面での吸着が主要なものである。4価~6価アルコールには阻害力がない。フェノール類とキノン類のAlCl3に対する反応性は大きく,その阻害力は脂肪族1価アルコールの10~1000倍である。阻害の効果を決定づける性質として,当然考慮に入れねばならぬ点は,その化合物のAlCl3に対する反応性であるが,その他にCCl4に対する溶解度,Al面への吸着性,官能基の数,分子の大きさ,官能基の位置による立体障害などについても留意すべきである。
  • 塩沢 計信
    1961 年 64 巻 5 号 p. 885-888
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    反応したモル比h(=H2O/Ti(OBu)4)が1以下の常法重合のn-ブチルチタネートポリマーの分子構造は現在なお明らかではない。これを解明するために,h≦1の種々のポリマーを合成し検討した。その結果は次のとおりである。
    1)希薄溶液粘度はアインシュタイン式にしたがわず,その定数KhがOから1に近づくにつれ2.5に接近した。
    また[η]=1.88×10-4Mn0.67(1)
    式が成立した。2)平均分子量は,これらがn-ブチルチタネート(h=0)とその4環体(h=1)との混合物と考えたとき,化学量論的なポリマーの収量から計算される平均分子量と実測のそれはよく一致した。直鎖状,3環体,5環体等では合わない。
    3)赤外線吸収スペクトルはh=0からh=1のポリマーになるにつれて,930cm-1から700cm-1付近の範囲においてのみ次第に変化しており,0<h<1のポリマーはn-ブチルチタネートとh=1のポリマーの混合物と考えて差支えない結果を得た。
    以上の結果から,h<1のn-ブチルチタネートポリマーはおもにn-ブチルチタネートとその4環体の混合物であるこどを明らかにした。
  • 河野 和夫, 尾頃 肇, 稲葉 哲雄
    1961 年 64 巻 5 号 p. 888-892
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成用ガスの脱硫に関する基礎的な研究の一部として,高温乾式法によるC4H4Sの除去を検討した。H2およびCOにC4H4Sを混合した試料ガスを,Fe,Ni,Co,Cu,Mn,Cd,Cr,Mo,V,Al,Mgの酸化物をケイソウ土に保たせた脱硫剤上に通じ,温度250,400℃,ガス空間速度1200で脱硫を行なった。脱硫剤によるイオウの固定は,Niが脱硫初期に短期間良好な結果を示したのみで,他のものはいずれも不十分な結果であった。しかし,H2Sで前処理をしたMoは,Ni以上の活性をみせた。イオウで飽和された脱硫剤によるC4H4S→H2S転化率は,全般に低く,400℃でNi,Coが60%以上を示したにすぎない。また,ガス中に共存するCOは,転化率を減少させる。これらの結果から,C4H4Sの脱硫ば,他のイオウ化合物にくらべて,著しく困難であることが認められた。この原因として,チオフェン環が熱的に安定であること,および脱硫剤のもつ,C4H4Sへの水素添加能が被毒によって低下されることが考えられる。
  • 永井 利一, 船久保 英一
    1961 年 64 巻 5 号 p. 893-898
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α-メチル-,β-メチル-,1,2-ジメチル-,2,6-ジメチル-等メチルナフタリン類,1-(2',3',4',5'-テトラヒドロフェニル)ナフタリン(HφN),1-フェニルナフタリン(φN),1,1'-ナフチル(BN),1,2-および1,4-ナフトキノン(NQ)について, おもにヘキサン- アルミナ系で吸着等温式を測定し, 先に提案した成長率R g および固有展開比E を求めて,クロマトグラフ特性と化学構造との関係を考察した。
    メチル基の導入は,影響が余り現われなかったが,HφN,φN,BNは,いずれも,そのUVスペクトルはナフタリン(N)のそれに近いが,α 位の置換基が,HφN,φN,BNの順に,分子の平面性に関する共鳴構造にかなりの寄与を示すことが, そのスペクトルから認められ, 吸着性も上記の順に増加した。従って, 共役系あ大きさと吸着性との平行衡係が前報同様認められたわけである。NとBNのRgの比は,アルミナ,シリカゲル-ヘキサン系で数倍であった。キノン系では,Rgは更に小さく,NQとNのRgの比は約1/100を示した。
  • 森川 清, 野崎 文男
    1961 年 64 巻 5 号 p. 898-902
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トルエンの核水素化および水素化脱メチル反応にたいする担体付ニッケル触媒の種類およびニッケル濃度と接触能との関係を明らかにしようとして実験を行なった。反応はすべて常圧下流通法で行ない,反応温度として核水素化には200℃,水素化脱メチルには460℃ を選び,触媒の担体物質としてはおもにシリカとアルミナとをとりあげた。その結果,核水素化には担体の種類によって接触能にあまり大きな差はないのに,水素化脱メチルに対しては,アルミナ担体の触媒はシリカ担体の触媒より一般に活性が小さいことがわかった。しかし,このアルミナに予め酸化モリブデンを少量添加しておくと,シリカ担体の場合と同様に水素化脱メチル能を強く発現してくる。一方,ニッケル含有量と接触能との関係を調べた結果,核水素化ではニッケル含有量が5~6%(wt)付近に急激な活性の変動があるのに対し,水素化脱メチルではニッケル含有量にほぼ比例して単調な変化をするのみであった。
    以上の実験結果を担体物質とニッケルとの結合状態と接触能との関連という立場から考察,検討を加えた。
  • 馬場 富雄, 吉野 努
    1961 年 64 巻 5 号 p. 902-906
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    脂肪酸とアミノエチルエタノールアミン, ジエチレントリアミンのごとときポリエチレンポリアミンの縮合により, 置換イミダゾリンを合成し,その有機酸塩の中性溶液中の軟鋼に対する腐食抑制効果を検討した。アルキル鎖,側鎖および有機酸の影響に関して得られた結果は,(1) アルキル鎖はヘプタデセニル> ヘプタデシル> ウンデシルの順に効果は増大する。(2) 側鎖( -CH2CH2OH,- CH2CH2NH2) はほとんど差はみとめられない。(3) 有機酸についてはマレイン酸,フマル酸のごとき不飽和二塩基酸がもっともすぐれ, さらにイミダゾリン- マレイン酸のモル比は1:1.5 ~ 1:2.0 が良好であった。防食機構は吸着した分子が陽極的に働き, 防食性酸化膜を形成せしめるためであろうと結論した。
  • 馬場 富雄, 吉野 努
    1961 年 64 巻 5 号 p. 907-909
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1-アミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリンのマレイン酸塩(1:1.5mol)の軟鋼に対する防食効果は石油系,油脂系溶剤を併用することにより,低添加量のときかなり向上した。これを用いて各種腐食環境における防食効果を検討した結果,淡水中では高温度あるいは流水中でも効果を示したが,塩水,酸性水中ではほとんど効果はみとめられなかった。黄銅に対しては腐食性はきわめて少なく,またアルミニウムに対してはよい防食効果を示した。
    次に,該イミダゾリンのオレイン酸塩の防錆油添加剤としての性能を検討した結果,オレイン酸1~2molの場合,4%添加した防錆油は塩水浸漬および湿潤箱試験の結果,いずれも優に規格を超える成績を示したが,石油スルホン酸塩との配合効果はみとめられなかった。またポーラロ法による防錆力の評価も湿潤箱試験結果とよい相関性を示した。
  • 鈴木 恪雄
    1961 年 64 巻 5 号 p. 910-912
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    糖液に微量のマンガンおよびコバルト塩を添加することは,ショ糖の晶出および煎糖に有効なことを認めたので,特に製作したクリスタライザーで低級の白下および糖蜜を本法により処理して,ショ糖晶出実験を行なった。これらの塩類の添加量は硫酸塩結晶としての等量混合物が10-2~10-4%であった。それは予備的実験で10-2~10-6% についての結果は10-4,10-5%が最もよい成績であったからである。その実験の結果本法による方が砂糖製品の収量が多く還元糖の含量はその平均値が小さく,製品の色は判別やや困難であるが,その溶液を比較してみると本法による方法が淡い。これらの事実は既報の良質の糖液や糖蜜についての研究結果と一致する。また実験で得られた結晶分難蜜の粘度をヘプラー粘度計で測定したところ,本法による方が大部分低い値を示した。
  • 山本 宏義
    1961 年 64 巻 5 号 p. 912-915
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    粘度は測定が割合簡単でしかもいろいろ興味めある事実がそれから帰納されるので, 古くから各種の高分子化学の研究に広く用いられてきた。特にシリコーンにおいては,粘度の温度変化が小さいことが,最大の長所の一つに挙げられており,最も大切な基礎数値の一つとされている。
    更に注目すべきことは,シリコーンのような高分子が広い温度範囲で液態を示すということは,その他の高分子にみられない事実であって, この意味で純化学的見地からみても甚だ魅力のある対象と考えられる。すなわち高分子の希釈溶液の粘度にういては多数の研究があり,たとえば固有粘度を測定して分子量や分子の形を推定することなどが広く行なわれているが, 逆に高分子物質に溶媒を少量添加した場合の研究は適当な試料がないために, ほとんど行なわれていない。これに対してシリコーンは分子量数十万, 原子数にして数千に達する高分子に至るまでよく液状を保つから, 高濃度における高分子の挙動を研究する絶好の対象物である。
    そこで本報告では先ず1 としてシリコーン自体の粘度から, これに溶媒を加えて行き濃度零, すなわち溶媒自体の粘度に至るまでの全領域の粘度を測定し,粘度の濃度変化がシロキサンの分岐といかなる関係にあるかを研究した。次にシリコーンは希望する分子量でかつ希望する分岐度を持った試料を比較的容易に合成できる便利があるので, 2 には分岐度が1の試料程多くない場合について分岐の影響を知るため,分子量が等しく分岐の数が異なった4コの試料を合成し, その希薄溶液粘度およびそれの温度変化を研究した。
  • 鹿島 寛, 長田 武
    1961 年 64 巻 5 号 p. 916-919
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    亜硫酸パルプ廃液より, 水素添加分解に適する試料を製造する最適条件を求めた。この試料を用い, フェノール, シクロヘキサノール,テトラリンを溶媒として高圧水素添加分解を行なった。反応条件,物質収支および生成油の組成などについて調べた。生成油中, 特に中性油の芳香族炭化水素にはo-キシレン6.6%,m-キシレン53.4%, p-キシレン26.7%が含まれていることを知った。
    また,リグニンを石油原油とともに水素添加分解表行なうと,石油原油中のナフテン留分はリグニンにより脱水素されて芳香族炭化水素に変わることを知った。
  • 鹿島 寛, 田畑 晴朗, 渡部 浩
    1961 年 64 巻 5 号 p. 919-921
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    既報では亜硫酸パルプ廃液よりつくった試料を高圧水素添加分解する研究を行ない,分解生成物特に中性油についてその組成を明らかにした。
    本報では分解生成物中の酸性油の組成について研究し,その低沸点油(bp185~230℃)はp-クレゾール,o-クレゾール,4-エチルフェノール,4-(n-プロピル)フェノールよりなり,高沸点油(bp230~260℃)にはカテコールが存在することを明らかにした。更に低沸点油についてペーパークロマトグラフィーによる研究を行なった。著者らの研究したリグニン高圧水素添加分解方式では,生成物特に酸性油はメトキシル基のないフェノール類よりなり,またm-位に置換基を有する化合物を含まないことが特徴である。
  • 京極 与寿郎, 位田 博敏, 八浜 義和
    1961 年 64 巻 5 号 p. 922-925
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    針葉樹のリグニンスルホン酸(LSA)は分子量,スルホン化度について分布を持っているが,広葉樹LSAについてはこの両者のほかにシリンギル核,グアヤシル核の構成割合が興味ある問題となる。
    椈LSAをバリウム塩とし,水溶液にエタノールを加えて分別沈殿を行なって13区分を得,各区分の性状をしらべた。分別の際の分子量あるいはスルホン化度への依存性,およびスルホン化度,紫外吸収などの個々の性状については針葉樹の場合と変わらぬ結果を与える。アルカリ性ニトロベンゼン酸化分解によるシリングアルデヒドとバニリンの生成比は,分別区分の順序に従って変化し, 低分子量, 高スルホン化度の区分ほどシリングアルデヒド生成量は高い。
    結論として椈LSAは分子量,スルホン化度のほかに,構成核の存在割合についても分布を持ち,ここで用いた分別系ではこの3 種の要因にもとづく分別が行われる。
  • 井手 文雄
    1961 年 64 巻 5 号 p. 925-928
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    硝酸セリウムアンモニウム塩を開始剤に用いてセルロースへの酢酸ビニルのグラフト重合を試み,重合に及ぼす諸条件として重合温度,重合時間,触媒濃度,単量体濃度,硝酸濃度の影響ならびに共重合体の赤外スペクトルを測定した。(1)硝酸濃度の増大とともに,全重合率,グラフト効率が減少する。これは酢酸ビニルが硝酸の存在下で加水分解することに基因する。(2) 触媒濃度に関して全重合率等は極大値をもつ曲線がえられた。グラフト効率は触媒濃度の増大 とともに減少するが, 余り大きな影響をうけない。(3) 重合温度の増大とともにグラフト効率は減少ずる。重合温度が 70℃以上になると,触媒が分解して重合が阻害される。(4)単量体濃度はグラフト効率に関して極めて低濃度以外は一応無関係である。
  • 国近 三吾, 片桐 孝夫
    1961 年 64 巻 5 号 p. 929-932
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビニルスルホン酸(VS)の各種の合成方法について,比較検討した。その結果,ビニルスルホン酸の合成は,工業的にはエタノール(またはエチレン)と無水硫酸とを反応させて,エチオン酸(またはカルビルサルフェート)をつくり,これをカセイソーダで分解して得る方法がよいと考えられるが,実験室的にはエチレンジブロミドと亜硫酸ソーダとから,Streckerの反応により,エチレンジスルホン酸ソーダをつくり,これを塩素化し,ついで加水分解して得る方法がよいことを知った。つぎに,アクリロニトリル(AN)との共重合物をつくり,その反応性比を求めたところ,r1=1.5(AN),r2=0.15(VS)を得,これからVSのQ,e値としてQ=0.09,e=+1.3なる値を得た。この結果は反応性において,ビニルスルホン酸ソーダよりも低いことを示している。アクリロニトリルとの共重合物について,染色性をしらべたところ,陽イオン染料に対する染色性は,予想どおり非常に良好であることを認めた。
  • 谷本 重夫, 小田 良平
    1961 年 64 巻 5 号 p. 932-935
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テトラヒドロフランを溶媒に使用してp- クロルスチレンのグリニャール化合物をつくり,これにエチレンオキシドを反応させて(p-ビニル)フェネチルアルコールを合成した。これをBPOを触媒として重合させてポリマーをえた。更にこれをアセチを化して元素分析および赤外吸収スペクトルにより確認した。
  • 細田 喜六郎
    1961 年 64 巻 5 号 p. 935-938
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    本報告はポリ塩化ビニル(以下PVCと略記)混和物の残留歪に伴なう結晶化度の変化を,X線回折によって検討したものである。伸長温度が高く,伸長保持時間が長く,そして残留歪が大きいほどPVCの結晶化度は増加すること,およびPVCの結晶性は,可塑剤を添加しても余り変化しないことが確かめられた。
  • 佐倉 武久
    1961 年 64 巻 5 号 p. 939-942
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    線状高分子は射出成型時の流動に際し分子配向が起り,そのままで冷却し固態となると考えられる。これは射出成形品に明らかな異方性が示されていることによって推定される。この異方性を調べることにより配向の程度を知り,同時に成形品設計に際して必要な強度上の知識を得ることが出来る。この報告では分子量90,000程度のPMMAの板状射出成形品の引張破断強度,弾性率等を特に吸湿量との関係で調べ,異方性を明らかにした。その結果,吸湿によって引張破断強度,弾性率ともにほぼ直線的な低下が認められ,また流動の方向に平行方向は,これと直角方向にくらべ強度,弾性率ともに高く明瞭な異方性が認められた。また応力負荷速度は流動方向に直角方向の試料が平行方向の試料にくらべ,やや影響が大きいことが示され,これは緩和弾性率測定結果の方向性の差異から説明される。
  • 黒岩 城雄, 中村 亦夫
    1961 年 64 巻 5 号 p. 942-943
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 64 巻 5 号 p. A45-A55
    発行日: 1961/05/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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