1961 年 64 巻 5 号 p. 865-871
ポルトランドセメントの焼成において, そのクリンカーに含まれるSO3は, アルカリと結合して硫酸塩を生じ, アルカリに対して過剰のSO3はCaOと結合してCaSO4を生成するものとされているが, 著者が先に行なった実験により,このCaSO4はCaO , Al203 とともに3 成分化合物を生成することが予測されたので, ここにCaO-Al203 -CaSO4系の固相反応を調べ,その生成物を確定しようとした。まずCaO-Al2O32成分系について実験した後合成したバン土酸三石灰を用いた3CaOAl203-CaSO4系配合について, 次に3CaO-3Al203-CaSO4系の配合, ついで5CaO-3Al203-CaSO4および3Al203-4CaSO4系の配合, およびSO2ガス流中4CaO-3Al203 系配合, 最後にn ( CaO,Al203)-CaSO4系n=1 ~5の配合等の各種配合試料を焼成し,その化学分析,X線回折,X線による定量分析および高温加熱試料のX線回折等による実験の結果,CaO-Al203-CaSO4系の固相反応において,3成分化合物の生成を確認し,その組成は3CaO・3Al203・CaSO4と定めることが出来た。
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